任意売却と競売の違いやメリット・デメリット、その回避方法は?

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで住まいのトラブル相談・提案を担当している不動産鑑定士補兼宅地建物取引士の相樂です。

相樂面談

先日、お子様がいる男性の方とオンライン面談の際に、「競売と任意売却の違いや自己破産はいつやったらいいのか?」をかなり詳しく聞かれました。

2020年以降、新型コロナウイルスの影響による長引く自粛で思うように仕事が出来ず、収入が減り、住宅ローンの支払いが厳しい方からの相談が増えています。

これまでの債務整理の実例を整理すると、一年程度の滞納が続き、その間、債権者と連絡が取れない場合には債権者によって競売の申し立てが行われる可能性が高いです。

競売の申し立てがされると、掛かった費用が上乗せされます。大体、80万円ぐらい将来返済すべき、ローン金額が増えることになります。競売を取り下げするにもお金が掛かってきます。

「もし、自宅が競売になってしまったら、一体どうなってしまうのか?」

今回は、競売の実体を踏まえ、そのメリットとデメリットについて確認し、競売を回避して、早期に以前の日常生活を取り戻すための対策について、具体的に説明していきます。

1.任意売却と競売の違い

競売と任意売却の違い

自宅の売却に関して、強制的に売却される競売と任意売却を誤解している方がいるので、一旦、整理します。

1-1.任意売却とは?

任意売却に関する基本的な情報やそのメリット・デメリットについてはこちらのページにまとめておきました。

ちなみに、住宅ローンの返済がうまく行かず、自宅の売却を検討する場合、宅地建物取引士がいる不動産会社に相談する必要があります。

自宅の売却や任意売却を行う事が出来るのは、弁護士や司法書士、税理士ではなく、宅地建物取引士です。

稀に、弁護士に全てを任せる方がいますが、自宅を売る任意売却は弁護士には出来ません。

1-2.競売とは?

競売に関する基本的な情報やそのメリット・デメリットについてはこちらのページにまとめておきました。

1-3.なぜ、競売や自己破産より、まず、任意売却をお勧めするのか?

競売を回避する方法

以下の質問を確認するとその違いが分かります。任意売却が失敗した場合でも競売や自己破産を行うことが出来ます。

なぜなら、任意売却は失敗した場合でも、成功した場合でも費用が一切掛からないためです。

1-3-1.なぜ、競売や自己破産での売却価格は任意売却による売却価格より、安くなるのか?

一般的に、競売では執行官や不動産鑑定士がご自宅を確認し、調査報告書や評価書を作成します。

その資料を基に買い主は購入価格を決めます。買主が売主と条件を事前に交渉することは基本的ありません。

一方、任意売却の場合、買主が売主と条件を事前に交渉して、売買を成立させます。

例えば、住み続けるのか?将来の買戻しの条件、引っ越しのタイミングなどを売買価格と共に決めます。

事前に相談できることや室内を自身で確認できることが多いため、任意売却の売買価格は競売や自己破産の価格より高くなる傾向があります。

1-3-2.なぜ、競売や自己破産では資金を残すことが出来ないのか?

競売や自己破産では売買代金は全て債権者の回収に使われます。

一方、任意売却では債権者や買主との事前交渉により、生活準備金や引っ越し代金がもらえることがあります。

また、引っ越しの時期に関しても買主や債権者との交渉により、決めることが出来ます。

1-3-3.立ち退きの有無やそのまま住み続ける事は出来るのか?

競売や自己破産の場合、価格が最も高い第三者が購入することになり、一般的にはその時点で立ち退くことになり、住み続ける事は出来ません。

一方、任意売却の場合、自宅に住みながら、売却活動を行うことが出来、買主次第では引っ越しせず、住み続けたり、将来買戻しをする事が出来ます。

1-3-4.なぜ、競売や自己破産だと、近隣にばれてしまうのか?

最近は、競売情報は近隣住戸へチラシを配られるだけでなく、個人のホームページにも掲載されるようになり、近所の友人に隠し通すことが難しくなっています。

一方、通常の不動産売却に近く、売主が情報の開示をコントロールすることが出来、競売や自己破産と比較して、公にされることを防ぐことが出来ます。

1-3-5.なぜ、任意売却は支払う費用がないのか?

競売と自己破産、任意売却の比較

競売や自己破産は成功する、しないにかかわらず、費用が掛かります。競売は競売を裁判所に申し立てた時点で80万円ほど費用がかかります。

なぜなら、申し立ての事務手数料だけでなく、執行官や不動産鑑定士が実際に現地に訪れ、写真や調査を行い、報告書を作成するからです。

自己破産の場合も同様に、自己破産の申し立てをする弁護士費用だけでなく、自宅を破産財産として、処分する破産管財人に対しても費用が発生します。

一方、任意売却の場合、買主や債権者と費用に関して、事前に交渉し、所有者が負担することがないように調整し、進めていくため、成功した場合には費用は掛かりません。

もちろん、任意売却が成功しなかった場合にも、不動産業者への費用は一切発生しません。

1-3-6.自宅の売却後、住まいはどうなるのか?

競売や自己破産の場合、追い出しが前提であるため、次の住まいを探す必要があります。

ただ、競売や自己破産の場合、いわゆるブラックリストと呼ばれる信用情報に掲載されているため、自身で探すのは容易ではありません。

そのため、役所で生活保護を受け、家族での生活を続ける方が多いです。

一方、任意売却の場合は自宅に住みながら売却活動を行い、そのまま自宅に住み続ける事や引っ越しのタイミングを交渉できるため、事前に引っ越し先を探す余裕があります。

例えば、賃貸の入居審査が厳しくなっていても、これまでの体験では事前に家賃保証や親族の連帯保証を付けることで売却後の住まいを見つけることが出来ています。

もちろん、その辺りのお手伝いも私たちはさせて頂いています。

具体的には、お部屋の紹介や保証会社・管理会社との事前調整、保証人や仲介手数料が要らない、UR住宅などをご提案させて頂いています。

2.競売のメリット

競売のメリット

2015年以降これまでの経験上、以前の生活を取り戻したい方には競売のメリットはほとんどありません。

ただ、あえて書くならということで一旦整理します。

2-1.売却の手間が省ける

競売では、申し立てから物件売却されるまでの手続きをすべて債権者と裁判所が行います。そのため、所有者は何もすることがなく、売却の手間がかかりません。

もちろん、自分で家を売る時のように、不動産会社を探したり、自宅内見に立ち会う必要もありません。

果たして、これがメリットなのか?

と疑問には思いますが、普段通り家で過ごしているだけで売却が済むのであれば、メリットと言っても良いと思います。

もちろん、競売期間中もローンの滞納を続けることが出来るので、その分生活費や今後の生活のために回すことが出来ます。

2-2.売却額をローン返済に充当できる

競売が始まれば、最終的に第三者に自宅が売却されます。売却金額はローン返済に充てられ、債務の残額を大きく減らせます。

もちろん、売却後の債務が少なければ、その後の返済が楽になります。

しかし、後ほど説明しますが、エリアや状況によりますが、競売の場合は一般売却と比較して、売却価格が安くなります。

そのため、売却は済んだものの住宅ローン債務が思っていたより多く残ってしまうことが多いので注意が必要です。

この辺り、競売のデメリットで詳しく説明していきます。

3.競売のデメリット

競売のデメリット

独身の方で何かあれば、自己破産して、引っ越せばいいと思っている人以外、競売に掛けられてしまうとデメリットの方が多いと思います。

それらを以下にまとめていきます。

3-1.売却価格が安くなる

競売での売却価格は、一般の売買価格の6~7割程度とされています。

特に、過去、5年分の600件を超える実際の落札価格を分析すると、毎月修繕積立金のあるマンションと比較してみました。

地方都市や郊外の木造戸建ては改修されず、建物自体が古くなっていることが多く、そのため、近隣相場と比較して、その落札価格は30%程度低くなっていました。

例えば、相場価格が1,500万円で、住宅ローン残高が2,000万円あったとしても、競売時の落札価格が1,000万円程度となり、1,000万円もの多額の住宅ローンが残ってしまいます。

つまり、「安価で売却される」=「債務が多く残る」ということです。

残念ですが、競売による強制売却でご自宅から追い出されても、住宅ローンの返済は金利が高くなり、続きます。

多額の借金を抱え、お子様との生活は心身ともに大きな負担となります。正直、自分の間違いを認めるのは辛いですが、競売だけは絶対に避けてほしいと思います。

そのため、相談に来られる方には競売を絶対に回避して頂き、以前の生活を取り戻してもらうため、競売前の任意売却やリースバック契約を締結し、売却後もご自宅に住み続けてもらう仕組みを一緒に話し合ってきました。

3-2.自分の意志は反映されず、強制的に追い出されることも

2-1で説明しましたが、競売は債権者と裁判所が主導で勝手に進めていく手続きです。

一般の不動産売買の時のように、買い主と双方の話し合いで契約が進むものではありません。

そのため、裁判所からの指示に従うことになり、条件交渉であったり、引越しの時期の相談などの自分の意思はまったく反映されません。

さらには、買受人が決まり、所有権が移転した時点で新所有者から強制退去を求められるケースもあります。

こうなると家族と一緒に住むことすら、ままならなくなり、一家離散。最後には、家族を終わらせることにもなりかねません。

私たちは相談に来られる方に、『早期に住宅ローンの整理に動くことで、このような悲劇を絶対に避けてほしい』と思っています。

3-3.近所や学校にプライバシーが侵害される

競売の開始決定がされると、競売にかけられる自宅や所有者の情報が広く、インターネット上に世間に公開されます。

今は、裁判所が運営する公的なホームページだけでなく、個人が作成しているサイトにも掲載されるケースがあります。

サイト上に公開される情報は住所や築年数、外観写真等であり、さすがに所有者の名前までは記載されません。

しかし、近所の方が見つけてしまえば、誰の家なのかがすぐにバレてしまいます。

他にも、色々な人がご自宅の購入検討に向け、見に来たり、周辺の不動産会社に聞き込みを行うのが一般的です。

ちなみに、Googleマップにモザイクが掛かっているときがありますが、競売にかけられた建物の一部はこんな風に処理されます。

子供の学校や近所の方に知られたくない方にとっては、プライバシーが侵害されることで大きな精神的ストレスになってしまいます。

4.競売の回避方法

競売を回避する方法

お勧めできないご自宅の競売ですが、どう回避するか?

現実的な方法を知らず、競売をそのまま受け入れると、金銭的な負担だけでなく、肉体的・経済的な負担も大きくなります。

ただ、自宅はあきらめても、人生をあきらめることは絶対にやめて下さい。

4-1.残債を一括返済

当たり前の話になってしまいますが、残債を一括返済すれば、競売にはかけられません。

しかし、一括で返済できるのであれば、そもそも競売にはなりません。

一括返済は現実的には非常に困難な回避方法だと思います。

なお、相談者の方には個別面談時に伝えていますが、実際、延滞が1~2ヵ月であれば、一括で完済できなくても延滞料だけ払うことで競売には掛けられません。

自宅を売ることなく、このような抜け道をうまく使ってもらい、体制を立て直してもらうこともあります。

例えば、1~2ヶ月だけの滞納であれば、カードローンを利用し、滞納分を返済、その後は分割で払っていくことも出来ます。

但し、この方法は入院などで一時的に収入が減った方に限定してお勧めしています。

なぜなら、カードローンの金利は住宅ローンの金利よりはるかに高いため、分割にしてもトータルでの返済は増えてしまいます。

そのため、収入が見込める方のみがこの方法で滞納や競売を回避するというのが現実的だと思います。

4-2.債権者との交渉によるリスケジュール

まず、リスケジュールとは、『ローンの支払計画の変更』をいいます。返済を滞納する前に債権者へ交渉をすることで毎月の返済額や返済期間の変更をします。

具体的には、20年ローンで組んでいたものを35年に変更することや、半年間利息のみの支払いにしてもらうなど様々な変更方法で毎月の返済額を減らします。

そうすることで、毎月の支払額を減らし、生活を立て直すことで将来の返済を可能にします。

4-2-1.リスケの場合、デメリットも考慮して

しかし、裏を返せば、返済期間が伸び、その分利息が増えますので、返済を後ろ伸ばしにしすぎないよう注意してください。

また、あなた自身の年齢や借入金額によってはリスケジュールできないこともあるので確認が必要です。

例えば、フラット35の住宅ローンでは79才を完済年齢としています。

そのため、40代や50代の方は専門家に返済期間について、よく相談し、賢く返済額を減らす方法を確認して下さい。

私たちも面談時に状況や希望を聞き、このままリスケを何とか出来るのか?

それとも、自宅の売却を含め、家族との住まいを守るための算段を提案しています。

>>実際にあった相談で、40代、50代の方の繰り上げ返済について、収入予測を踏まえ、こちらのページにまとめました。

他にも、次に説明する方法で住宅ローンを減らし、生活を立て直す方法があります。

4-3.競売を回避し、任意売却を行うには?

1-1.任意売却とは?で説明しましたが、競売を回避する方法に任意売却という不動産売却方法があります。

任意売却では、競売での売却金額よりも市場相場に近い高い価格での売却が可能になります。

なぜなら、事前に売主と買主が条件を協議し、売買価格や引き渡しの時期などを協議できるからです。

ただ、任意売却には債権者の同意が必要になるため、通常の売却とは異なる手続きも多いです。

さらに、リースバックをして売却後も自宅に住み続けたい場合やバレたくない等リクエストがある場合には売却に時間が掛かったり、売買価格が下がる可能性があるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

そうすることによって、スムーズな取引が可能となり、以前の生活をより早く取り戻す事ができます。

5.競売を避け、任意売却を行い、より高い価格で売却する方法まとめ

メンバー集合

ここまで、競売のメリットやデメリットと、競売を回避するための対策について説明してきました。

競売は単に経済的なデメリットだけではなく、自宅を失う恐怖心や周囲の方に知られることにより、さらに辛い状況を伴い、お子様の精神的にも大きなデメリットがある可能性がります。

競売をきっかけに、奥様と上手く行かなくなり、家族が崩壊してしまった等、小説やドラマのようなことが本当に起きています。

今回、競売を回避する方法を説明しましたが、競売開始までの時間には限りがあります。

そのため、今既に返済が辛く、収入が回復する見込みがない場合、とにかく早めの行動が大切です。

まずは、お近くのローン整理に実績のある不動産会社へ相談してみてはいかがでしょうか?

最後に、病気やリストラで住宅ローンの支払いがきつく、ご自身や家族との以前のような生活を取り戻したい方向けに、2015年以降、実際にあった200件を超える住宅ローンの相談を受け、チェックリストを作成しました。

まずは、今からでも間に合うのか、セルフチェックをしてみて下さい。

□毎月の返済が少し厳しく、貯金が出来ない
□銀行から督促が届き、対策を考えている
□転職や病気で、収入が減り、返済に悩んでいる
□借り入れや返済など、毎月の収支管理が出来ない
□養育費や学費など生活費が増え、苦しい
□ボーナス等一時金が減った
□離婚や出産で共働きが出来ず、返済が苦しい
□自宅の買い取りチラシがポストに頻繁に入っている
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もし、2つ以上当てはまる場合、直ぐに専門家に相談するか、LINE公式から住まいを守る無料診断も試して下さい。

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滞納が続くと利子による負担が日々大きくなり、競売による追い出しなど、ご家族との生活を失いかねません。なるべく早めに動かれることをお勧めします。

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この記事を書いた人

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大手広告主企業での広告宣伝部、総合広告代理店でのプロモーション部を経験し、PLAN-Bへ入社。企業のオウンドメディア「PINTO!」の立ち上げを行い数多くの記事を作成しメディアとして成長させた。その経験からコンテンツSEOのインハウス化を支援するツールの「SEARCHWRITE」をローンチし、プロダクトオーナーを務める。

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