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こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す白金の不動産屋、(株)リビングインで住まいのトラブル相談・提案を担当している不動産鑑定士補兼住宅診断士の相樂です。
私たちは過去3年間、都内を中心に再開発地域のマンション価格や人口、乗降客数の推移を見てきました。
2022年の暮れにはいよいよ日銀の方針修正だけでなく、18歳までの子どもに月5,000円程度の給付検討もあり、今後も東京は買っていいマンションとそうでないマンションの選別が進みそうです。
購入を検討するお客さまにマンションの良し悪しを説明する際、『実際にマンションを購入するなら、他の地域』と比較して、どうなっているか?
すなわち、価格の高い安いは他地域や過去との比較で判断するのが最も良いと分かってきました。
ここからは2つの地域をピックアップして、マンション選びに大切なポイントを比較していこうと思います。
今回は共に再開発が続く、赤羽と十条のデータを整理し、その将来性を見て行こうと思います。
1.人口や世帯数、年収の比較
*赤羽駅前の様子
駅周辺の地域で再開発が進み、町全体が生まれ変わってきている赤羽駅。
京浜東北線、埼京線、高崎線、湘南新宿ライン、東北本線の5路線が利用でき、さらに赤羽駅から徒歩8分の場所にある赤羽岩淵駅では、東京メトロ南北線の地下鉄の利用も可能な東京北部の交通の中心地です。
2023年に工事の着工、2025年に完成予定の『赤羽一丁目第一地区市街地再開発事業』も決定しており、ますます目が離せない注目の街です。
*十条駅前の様子
一方の十条駅も、『十条駅西口地区第一種市街地再開発事業』により、商業施設やタワーマンションなどを建設中で、2024年10月31日の完了を目指しています。
まずは、共に再開発が続く両駅の人口と世帯数推移のデータを比較していきます。
1-1.人口と世帯数の推移とその比較
*参照:北区
北区が発表した人口に関する統計データを基に、赤羽駅周辺(赤羽1-3丁目)と十条駅周辺(上十条1-5丁目)の世帯数と人口の推移を考察していきます。
データを確認すると、赤羽駅は世帯数、人口共に上昇傾向なのに対し、十条駅は2022年に世帯数が増えているものの、全体的に減少傾向であることがわかります。
赤羽駅周辺の世帯数が増加している要因として、再開発の進行はもちろん、近年お酒好きの聖地として多くのメディアに取り上げらたことや、『住みたい街ランキング』や『穴場だと思う街ランキング』等で常連となってきたことなどが考えられます。
1-2.駅徒歩圏の人口予測の比較
次に、各駅徒歩15分圏内の人口推計のデータを見てみます。
上記のグラフは『国土数値情報(H30国政局推計)/国土交通省』のデータを国際航業(株)が編集・加工した情報を元に作成されたグラフです。
データを確認すると、赤羽駅は長期的に見ると減少傾向にあります。
駅前再開発が進む十条駅も2040年までは上昇を続け、その後減少していくと予想されています。
このデータだけを読み取ると、人口増加が見込めないことに不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、この結果を考慮して、北区では問題点や改善策を打ち出し、ファミリー層や若年層の定住化、出生数の増加に向けて対策を講じています。
「子育てするなら北区が一番!」を合言葉に、北区では子育てするための支援策が充実しています。
また、令和6年度から5年を計画期間とする「(仮称)北区子ども・子育て支援総合計画」も策定され、今後ますます支援が充実していきそうです。
区がサポートすることに加え、今後大学の開校や住みやすい街として一躍人気が出たことを考慮すると、上記の人口予測を上回ることも期待できそうです。
1-3.駅徒歩圏の年収の比較
次に、赤羽駅と十条駅の年収別世帯数の割合を比較していきます。
赤羽駅は、年収200万円未満の世帯が十条駅と比べて特に多く、約20.8%程度を占めることがわかりました。
一方、年収300万~700万未満の世帯数を比べると、十条駅の方が割合が高いことがわかります。
また、両駅共に年収200~600万円の割合が高く、単身者から一般家庭にも愛されている地域だと言えそうです。
1-4.人数別世帯数の比較
上記のグラフは、赤羽駅と十条駅の世帯数を比較したグラフです。
赤羽駅は、十条駅に比べて単身世帯は少なく、2人以上の世帯数が多いことがわかりました。
また、割合としては単身世帯、2人世帯だけで75.4%を占めており、家賃や物価の安さが学生や単身者から愛される理由の一つとなっているのかもしれません。
2.乗降客数の推移とその比較
*赤羽駅構内の様子
東京都交通局が発表している『各駅の乗車人員』のデータを基に、『赤羽駅』と『十条駅』を利用する乗降客数の推移を比較していきます。
*参考:「国土数値情報(駅別乗降客数データ)」(国土交通省国土政策局)の数値を参考に作成
データを確認すると、2000年からコロナ禍前の2019年までの19年間で、赤羽駅の乗降客数は16,329人(約20%)増加しています。
一方の十条駅も5,665人(約18%)と、赤羽駅の増加率とほぼ同水準で増加しています。
コロナ禍になった2020年に、どちらの駅も大きく乗降客数は減少していますが、2021年には盛り返しています。
コロナ禍の終息に向けて以前と同程度の数値に戻っていくのか、テレワークの普及により、終息後も以前ほどの数値まで戻らないのか、注目していきたいところです。
3.治安や地盤の安心は?
ここからは不動産を購入するうえで欠かせない、治安や地盤、災害の影響についてそれぞれのデータを比較していきます。
3-1.刑法犯の推移とその比較
*参照:警視庁
上記のグラフは、各エリアを管轄する赤羽警察署、王子警察署が発表した、過去5年間における刑法犯の推移です。
まず、赤羽駅周辺の良化が著しく、年々減少傾向にあり、直近5年間で半減していることがわかります。
元々、飲み屋街で治安が悪いイメージもあった赤羽駅ですが、今では駅周辺の治安も良く、ファミリーでも安心して過ごせる環境が整っているようです。
一方の十条駅も減少傾向であったものの、2021年には前年より100件増加しており、治安の面では赤羽駅より不安を感じます。
3-2.地盤の安心比較
赤羽1丁目~3丁目までを確認すると、一番危険度の低い地域は赤羽1丁目であることがわかります。
1番危険度の高い場所は、赤羽3丁目でした。
駅周辺には比較的古い建物も残っているため、住む場合には十分に検討が必要です。
続いて上十条1丁目~5丁目までを確認すると、一番危険度の低い地域は上十条3丁目であることがわかります。
1番危険度の高い場所は、上十条5丁目でした。
地盤が軟弱なのか、地震が起きた場合に揺れが増幅されやすい地域のため、建物倒壊危険度は都内で86位です。
4.賃料の推移とその比較
ライフルホームズが発表している賃貸マンションに関するデータを基に、直近5年間の『赤羽駅』と『十条駅』に関する賃料の推移を比較していきます。
*参照:ライフルホームズ
データを確認すると、赤羽駅の標準的な物件の賃料は直近の3年間で1.89%程度上昇していることがわかります。これは東京都の変動率である2.23%と同程度の水準です。
この3年間の賃料上昇率を内訳でみると、初年度0.42%、2年目-0.76%、3年目2.23%となっています。
*参照:ライフルホームズ
続いて、十条駅の標準的な物件の賃料は直近の3年間で1.64%程度上昇していることがわかります。こちらも、東京都の変動率と同程度の水準です。
この3年間の賃料上昇率を内訳でみると、初年度0.32%、2年目0.95%、3年目0.38%となっています。
どちらの駅も、コロナ禍で一時的に数値が落ちていますが、現在は上昇傾向に戻っており、今後も上昇が継続していくことが予想されます。
5.マンション価格の推移と比較
東京カンテイが発表している駅別中古マンション価格に関するデータを基に、直近5年間の『赤羽駅』と『十条駅』に関するマンション価格の推移を比較していきます。
*参考:東京カンテイ
データを確認すると、直近5年間で『赤羽駅』が57万円/坪(約26%)、『十条駅』が29万円/坪(約12%)上昇していることがわかります。
十条駅は、コロナ禍に入った2020年に価格が落ちています。
ただ、これも一時的なものだと推測されます。
どちらの駅も、人気度や注目度の高さ、大規模な再開発事業である『十条駅西口地区第一種市街地再開発事業』が進行していることを考慮すると、しばらくは上昇傾向が続いていくことが考えられます。
6.住宅街や商業地の地価の推移とその比較
次に、各駅周辺の地価を確認していきます。
以下のグラフは、商業地域に区分されている『北5-1(赤羽駅)』と『北5-6(十条駅)』、住宅地に区分されている『北-14(赤羽駅)』と『北-21(十条駅)』のデータを基に、2011年から2022年までの価格を表したものです。
まず、赤羽駅周辺の商業地の地価推移を見ていきます。
2015年に「赤羽駅東口地区のまちづくりゾーニング構想」の策定されたことや、駅前の商業施設のリニューアルに伴い、2022年まで地価が上昇し、10年間で約140万円/㎡(68%)も価格が上がっていることがわかります。
一方の十条駅も、赤羽駅ほどの上昇率ではないものの、10年間で約34万円/㎡(40%)価格が上がっています。こちらも、現在進行中の『十条駅西口地区第一種市街地再開発事業』が大きな要因の一つと考えられます。
次に、赤羽駅周辺の住宅地の地価推移を見ていきます。
こちらも商業地と同じく2022年まで地価が上昇し、10年間で約14万円/㎡(35%)価格が上がっていることが分かります。
十条駅も、10年間で約11万円/㎡(30%)価格が上がっています。
再開発も進行していることから、商業地、住宅地共に各駅の価値は将来的にも上昇傾向に向かうことが期待できます。
7.赤羽と十条のマンションデータの比較まとめ
今回は共に再開発が行われ、以前と大きく変わりつつある、赤羽と十条を比較してみました。
7-1.赤羽駅周辺の不動産は?
*赤羽 一番街商店街の様子
再開発が始動した当初に比べ、赤羽駅周辺は街がリニューアルされ、一躍人気地区へと変貌を遂げました。
現在も再開発計画は進展され、大学やショッピングモールの招致や子育て世代の支援も伴い、今後も更に人気が加速していくことが見込まれます。
東京都の2024年以降、毎月5,000円を18歳まで支払う公約の効果がどれほどか、分かりませんが、再開発の進捗と共に、赤羽駅周辺の土地価値は更に上昇していくと思います。
*開発地
一点、赤羽地区は荒川と隣接しているため、川の氾濫による災害の危険性も懸念材料に考える人は少なくありません。
ただし、赤羽駅の西口は高台にあることや災害防止に備えて、区が「洪水ハザードマップ」を作成し、定期的に災害訓練を実施していることを考慮すると、過剰な心配は不必要だと思います。
これらのことから、将来性も考え、赤羽駅周辺の不動産を買うのであれば、今がチャンスといえます。この記事で得た知識を参考に、赤羽駅周辺の不動産物件の購入を検討してみてください。
7-2.十条駅周辺の不動産は?
*十条商店街の様子
一方の十条駅も大規模な再開発事業が計画されており、昭和の暖かみとセレブタウンが融合することが予測されています。
そのため、更なる人気と不動産価値の向上が期待できます。
しかし、不動産を購入する上で、重要な地盤や災害によるリスクが全くないことはないため、注意する必要があります。
「どのような地盤工事を行なっているか」や「ハザードマップと照らし合わせて水害による被害が出そうな不動産かどうか」を調べることが将来の売却を踏まえ、本当に重要です。
*開発予定地
十条駅は住みやすさや将来性という点では非常に魅力的な街であることは間違いありません。
しかし、エリアによって災害の被害を受ける可能性があるため、もし、購入を検討するのであれば、比較的被害がないエリアの不動産を選び、購入をおすすめします。
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