事前説明と契約書に虚偽があった場合、違約金等の請求は出来ますか?

契約書にサインしてしまうと、内容を認めた事になり、後から損害賠償請求が認められるかどうかは非常に難しい所です

繁忙期の終わった4月と10月はトラブルの相談件数が一気に増えます。先日、契約の際の説明の虚偽に関し、以下のような相談を受けました。

仕事があり、忙しく、難しいと思いますが、引っ越し後に後悔しないため、遠保への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方ほど担当者に条件等の確認をきちんとして、契約・引っ越しを進めてください。

1.事前説明と契約書に虚偽表示があった場合、契約解除に伴う違約金の請求は出来ますか?

不動産仲介業の方から契約前に受けた説明とマイソク等の資料にはRC造のマンションと聞いて契約したのですが、実際の構造は鉄骨造でした。

契約書に関して、鉄骨造と記載されていたみたいなのですが、内見の説明の時と渡された資料にはRC造と記載がありました。この場合、不動産仲介業者から慰謝料か、今の賃貸の契約解除に伴う違約金と引っ越し代とか請求できるものでしょうか?

2.本件に関して調査及び、宅建協会に確認した私たちの回答です。

2-1.契約書にRC造と記載され、それにサイン・捺印している場合、損害賠償請求が認められるかどうかが非常にあいまいです。

謄本に軽量鉄骨造や木造と書いてあるのに、マイソク(物件概要)と契約書、どちらにもRC造と記載があれば、虚偽の記載であるので、貸主や契約書・重説を発行した不動産会社へ損害賠償請求は十分に認められる範囲かと存じます。

しかし、本件はマイソクにはRCと記載されているものの、契約書には鉄骨と記載されており、その契約書にサインして契約しているため、損害賠償請求が認められるかどうかが非常にあいまいです。

相談者様からすれば、「事前にRCと説明を受けたから入居した、虚偽の説明をしていたのだから引っ越しにかかる費用は負担してほしい」という気持ち、不動産会社は「鉄骨と記載されている契約書にサインしたのだからそちらが悪い」という気持ちかと思います。

個人的には、プロなんだから、建物の構造を間違えて記載するのはどうかと思いますが・・・。

2-2.どうしても納得できない場合は弁護士へ

このような線引きが難しい案件は当人同士で話し合ってもどちらかが折れない限り解決できません。そのため、解決するには調停や裁判で司法の判断を仰ぐしかないかと思います。

弁護士への相談費用が心配であれば、まずは無料で法律相談が受けられる法テラスに相談したりすると良いと思います。そして、最終的な解決手段は裁判しかありません。

裁判というとハードルが高いように思えますし、費用も時間もかかるイメージがありますが、少額訴訟であればわずか1日で決着をつけることができます。

少額訴訟は60万円以下の少額な金銭の支払いについてのみ提訴ができて、費用も実費で数千円程度しかかかりません。かなりお手軽な裁判ということになります。少額訴訟をちらつかせると、請求に応じる事も多いので是非参考にしてみてください。

3.このようなトラブルに遭わないために

賃貸物件を契約する際、賃貸借契約書に署名・捺印する前に「重要事項説明書」の説明が義務付けられています。重要事項説明書というのは文字の通り、賃貸物件を契約する上で重要なことが記載がある書類ですので、契約前に細かくチェックすることが大切です。

ただ、項目が多く、文章も長いため、全て網羅して読むのに時間がかかるかもしれません。しかし、遠方からの引っ越しの方や部屋探しの経験が少ない方は後悔・失敗が統計的に多いので、入居後や退去時にトラブルにならない為に記載事項をよく理解してから契約して下さい。

というのも、口頭で説明されていたとしても、契約書に記載があり、捺印をしてしまった場合、承諾したものであると認識されてしまいます。

そのため、不動産会社からの説明時に分からないことや説明を受けていたことと食い違う点がある場合は、納得がいくまで遠慮なく不動産会社へ質問して下さい。また、オンライン内見だけにとどめず、部屋探しに慣れるまでは、最終的なお部屋の決定は自分の目で・耳で・鼻で調べてから決める方が圧倒的に後悔が少ないと思います。

念のため、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。

ーーー

あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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大和田 豊

この記事を書いた人

大和田 豊

事例を参考に失敗の少ない不動産取引を目指し、2012年以降90件以上の不動産取引を経験。現在はコロナウイルスの影響を受け、ローン返済に悩んでいる方向けに、生活の早期の改善に向け、債務整理に注力。宅地建物取引士、任意売却取扱主任者、住宅ローンアドバイザー。>>その他詳しい実績はこちら

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