全てが別々でコスパが悪い一人暮らしより、近年「ルームシェア」なども広まりを見せているように、“多様な住み方”が広く認知されるようになっています。私たちの仕事でも、カップルや友達同士で同棲したり、就職をきっかけとして都市部にて兄弟・姉妹にと二人暮らしをしたりする方を案内する事も多くなってきました。
ここでは、一級建築士の先生とプライバシーを守れる「二人暮らし」のための賃貸物件チェックポイント(物件選びポイント)を聞いてきましたので、ご紹介いたします。
1.二人暮らしに適した間取り(住居プラン)ポイント
気が合う友達や家族(兄弟・姉妹)であったとしても、生活習慣も異なれば、価値観にも必ず違いが存在しているものです。「一人暮らし」ならすべて自分の好みにて判断してしまうことができます。しかし、「二人暮らし」をする場合は、お互いの「生活習慣の違い」や「価値観」を尊重することが長続きの秘訣です。これまでの設計や監督してきた経験上、失敗しない二人暮らしに適した物件(賃貸住宅)を探す上で忘れてはいけない大切なポイントとなるのが下記3要素です。
・プライバシーの確保
・生活習慣の違いの考慮
・共用空間の使い方
「プライバシーが確保できる間取り」、「お互いの生活習慣を尊重した間取り」であることに加えて、「共用空間(リビング・ダイニングなど)の使い方」に関する共通認識を持っておくことが後悔しない物件選びをするために大切な要素となります。
2.建築士が考える賃貸住宅において、二人暮らしに適した間取りとは?
賃貸住宅・マンションにおいて、二人暮らしに適した(二人暮らしが可能な)間取りとなるのが下記です。
・2DK
・2LDK
・2LDK+S(納戸)
・3DK
*なお、atliving.netで行ったお引っ越しの失敗事例の分析でも、『引っ越し経験が3回以上と多い方たちの二人暮らしの部屋選びでは、引っ越し経験のない人たちと比べて、リビング付きのお部屋へのお引っ越しが多かった』です。そのため、同じ面積でもゆったりできる空間(リビング)がお部屋にある間取りを選ぶのが長く一緒に住めるポイントだと思います。
もちろん「3LDK」でも二人暮らしが十分できます。しかし、二人暮らしとしては住戸面積が広すぎて、コストパフォーマンスが低い(割高)ことから、上記4つの選択肢となります。上記すべての間取りに共通した二人暮らしに必要な「5つの間取りポイント」をここからご説明したいと思います。
2-1.各個人の「寝室」を確保
どんなに仲の良い間柄だったとしても、物件選びをする上で必須要素と考えておいていただきたいのが「個別の寝室を確保する」ことです。これはお互いの「プライバシーを確保する」ために最重要な要素となるとともに、生活習慣の違い(起床時間、就寝時間、帰宅時間などの違い)に対応するためにも欠かせない要素となります。
ゆえに、住戸面積が広かったとしても「ワンルーム」、「1LDK」などの間取りは二人暮らしに不向きなのです。こういったケースは短期の引っ越しを検討している方が選ぶといい炉思います。
2-2.共用空間から各寝室へ繋がる動線プラン
個別の「寝室」が確保できたとしても、忘れてはいけないのが「各寝室への動線(経路)」がどうなっているかということ。
・プライバシーの確保
・生活習慣の違い
へ対応するためには「個別の寝室」となっているだけでは不十分で共用空間(廊下、リビング、ダイニング)からそれぞれの寝室に直接アクセスできる動線(間取り)であることが大切なポイントとなります。特に、「2DK」などにて「寝室と寝室が繋がっている(寝室を通って、隣の寝室へ出入り)」という間取りがありますので注意が必要です。
2-3.「リビング(ダイニング)の心地よさ」or「各寝室の心地よさ」の優先順位
物件選びをするときに、お互いの価値観要素にて最低限確認しておきたいのが「リビング(ダイニング)の心地よさ」を優先したいのか、それとも「各寝室の心地よさ」を優先したいのかということです。
「寝室」はあくまでも睡眠をとるための部屋として、基本的には「リビング(ダイニング)」で寛ぎたいという共通認識を持つのであれば、「リビングの日当たり・方位・配置」の良さを重視。逆に「各寝室」にて寛ぐ時間を大切にしたいのであれば、「寝室の日当たり・方位・配置」が良い間取りを選択することがおすすめとなります。
2-4.「脱衣室」の有無
「着替え」に関して、あまり同居人の視線が気にならない人もいれば、仲が良い友人・姉妹だったとしても、視線は気になるという人もいるもの。特に、普段の着替えはあまり気にならなかったとしても、二人暮らしをし始めてから入浴に伴う着替えが気になってくるという場合があります。
また、「脱衣した衣服(洗濯もの)」の管理の観点からも「脱衣室のある間取り」を重要視していただければと思います(最近、コンパクトな2DKなどにて、脱衣室の無い間取りが割と存在しています)
2-5.「各寝室」の環境条件の統一
お互いの関係性がいつも同じ状態のままとは限りません。仲が良くても、誰しもがケンカをしてしまうこともあるものです。「職場環境の変化」などに伴い、ある日突然「生活習慣」や「価値観」が変化してしまうこともあるかもしれません。そんな変化に対して、大きな問題を生じさせないためには、お互いの「寝室の環境条件」をなるべく同じにしておくことが効果的です。
特に
・日当たりの有無
・収納の有無(押し入れ、クローゼット)
・窓の数
の条件がなるべく同じような「2部屋」を有する間取りを選んでおくことをおすすめいたします。家賃の折半でもめたりするのも面倒なので…。
3.【建築士と考える】長く住める二人暮らしの間取りまとめ
「二人暮らし」をする上では、お互いの価値観をそれぞれが共通認識として理解しておくことが本当に大切です。物件探しは、「生活習慣」、「価値観」の共通認識を持ってからスタートしましょう。二人暮らしの物件にて失敗・後悔しやすいのが共通認識を持つ前に、いろいろと物件を内見しながら、「ここ雰囲気良いよね!」などと、その場の印象で物件を決めてしまうケースです。
二人暮らしの場合は引っ越し費用や掛ける時間も増えるので、遠方ぶっけんであっても気分やアドリブなどで決めず、物件探しをする前の情報整理(価値観など)の時間を大切にしていただければと思います。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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