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競売になったら自己破産?競売と任意売却、自己破産のメリット・デメリット

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す不動産屋、株式会社リビングインの住宅ローンアドバイザー兼宅地建物取引士、馬場です。

住まいのトラブル無料相談窓口、アリネットでは、日頃からオンラインにて不動産取引や資金管理のご相談を承ってきました。

この前の連休に、九州地方のお客様からオンラインで自宅売却に関するご相談を受けました。

その方は50歳台のご夫婦と子ども3人、お母様の6人家族。7年前に住宅ローンを組んで家を購入したものの、ローンが返せず滞納中で、自宅が競売にかけられそうになっているそうです。

高齢のお母様と一緒なので、愛着のある家にそのまま住み続けられる方法はないのか?と困っておられました。

このようなケースで競売を防ぐためには、競売よりも早期に任意売却の手続きを進め、「リースバック契約」を結ぶのが堅実な方法だと思います。

実際、どのように行動したらよいのでしょうか?これまでの経験を基にわかりやすく解説していきます。

1.競売にかけられたら、自己破産するしかない?

まず、住宅ローンの返済遅延や滞納から競売までの流れや自己破産との関連性について説明します。

1-1.住宅ローンの返済遅延〜競売までの流れ

住宅ローン返済ができなくなり、滞納が始まってから、最終的に自宅が競売にかけられるまで、次のような流れで進行します。

1.遅延損害金が発生する
2.金融機関より督促状が来るようになる
3.「期限の利益の喪失」に関する連絡が届く
4.競売が決定される
5.競売入札期間が決定、通知が届く
6.競売が実行される

住宅ローンの返済が滞納・遅延した場合、最初は遅延損害金という費用が発生するだけです。

しかし、そのまま支払いを怠っていると、借入先の金融機関から督促状や督促の電話、メールが届くようになります。

そして「期限の利益の喪失」の連絡が来ると、金融機関は債権の移管先を決め、本腰を入れて競売まで事を進めていくので、この連絡が届いたら速やかに競売から逃れるための行動を取るのがおすすめです。

競売までの詳しい流れに関しては、下記の記事で解説しております。あわせてご覧ください。

>>任意売却の担当が考える住宅ローンが払えない時の合理的な解決策とは?

1-2.競売=自己破産となる理由

自宅が競売にかけられたあと、自己破産に至る方は少なくありません。

その理由は、競売での売却価格が比較的低く、残債や遅延損害金の返済が発生するからです。残債や遅延損害金が実体的には払える範囲でとなることが多いですが、自宅を手放しても自己破産や任意整理をしている方が大半です。

競売が実施される情報は裁判所や裁判所が情報提供している「不動産競売物件情報サイト」で広く公開されています。

しかし、最近は競売に参加する買い手に、一般人はほとんど居ません。その多くは日頃から競売物件を取り扱っている競売業者や専門不動産会社で通常の不動産相場を知り尽くしているため、相場よりも安価な価格で入札していきます。

また、競売物件には「債務者がなかなか退去しない」、「内見ができないためゴミ屋敷を引き当ててしまった」等のトラブルもつきものです。その点を加味した結果、やはり相場未満の金額帯に落ち着いてしまいます。

更に、自宅の時価は購入当時より下落していることが一般的です。以上を踏まえると、自宅が競売にかけられたとしても住宅ローンの残債にはほど遠く、結果として自己破産や任意整理に陥り、仕事を含め、社会的な地位を失ってしまう方が多くいます。

2.競売を避けるなら「任意売却」

もう住宅ローンを返済することはできない。その場合に競売を賢く避けるための方法はただ1つ、任意売却しかありません。

住宅ローンの支払いが滞ってから半年〜1年もすれば、間違いなく競売に行き着いてしまいます。その為、なるべく早期に任意売却に向けて行動を起こすのが個人的におすすめです。

2-1.任意売却の特徴

任意売却とは、借入先の金融機関の承諾を得て、住宅ローン支払いが滞っている不動産を売却することです。大きな特徴は2つあります。

2-1-1.1つは、競売よりも売却益が大きくなりやすいこと。

競売では通常の相場よりも低い金額で取引されるケースが多いですが、任意売却では通常の相場と同価格帯で取引されます。よって不動産を売る上での不利益がありません。

2-1-2.もう1つは、売却する際の諸費用も込みで売却できること。

通常、不動産を売る際には仲介手数料や抵当権抹消費用、印紙代等の諸費用がかかりますが、任意売却ではそのコストを不動産の売却益から出すことができます。よって別途現金を用意しなくていいのです。

2-1-3.その他の任意売却のメリットとは?

近隣の方に任意売却だとバレる心配がないことや不動産の引き渡し時期を相談して決められること等、競売と比較した場合のメリットは多くあると思います。なお、任意売却に関する詳細は、こちらで解説しております。

>>マンション売却して住宅ローン完済!収入が減り、苦しいローン返済から解放される方法

その中でも、競売と比較した場合、最も大きなメリットが、リースバック契約によって、自宅にそのまま住み続けられる可能性があることだと思います。リースバックについて、次の章で詳しく解説します。

3.リースバックは「任意売却した後も自宅に住み続けられる方法」

「セール・アンド・リースバック」、通称「リースバック」とは、所有している不動産を売却し、その不動産を購入した買主に賃料を支払うことで、その不動産に住み続ける仕組みです。近年リースバックの存在が知られるようになり、利用を希望される方が非常に増えています。

では、リースバックのメリットとデメリットは何でしょうか。それぞれ解説します。

3-1.リースバックのメリット

リースバックの代表的なメリットは、以下の3つです。

・同じ家に住み続けられる
・近隣に借金トラブルを知られずに済む
・固定資産税等の税金や修繕費の支払いがなくなる

3-1-1.まず、リースバックの一番のメリットは、あなたの持ち家・マンションにそのまま住み続けられることです。

もし競売にかけられた場合には、決められた期日に確実に退去しないといけません。また通常の任意売却でも、次に住む方と相談して期日までに引っ越しをする必要があります。

ところが、リースバックは契約時点で「その家に住み続けたい」という意思が買主に伝わっているので、その希望を叶えることが可能です。住宅ローンが払えない、でもこの家に住み続けたいなら、リースバックが唯一の手段と言えると思います。

3-1-2.次に、リースバックは近隣住民や会社等に知られることなく手続きが可能です。

近隣住民や会社に借金トラブルがバレないかと心配する必要がありません。リースバックによって住宅ローンから解放され、これまで通りの生活を続けることができます。

そして、リースバックをすると、持ち家ではなく賃貸住宅に住む形に。そのため固定資産税・都市計画税や不動産の修繕費など、持ち家・マンションにかかる費用負担が軽減されます。持ち家の維持費が気になっていた方は、思わぬ形でこういったコストから解放されるのです。

3-2.リースバックのデメリット

メリット豊富なリースバックですが、やはりデメリットも存在します。主なデメリットは、次の3つです。

・通常の任意売却より売却額が低くなる可能性がある
・抵当権が外せなければリースバックが利用できない
・ずっと住み続けられるとは限らない

3-2-1.まず、リースバック前提で不動産を売却する場合には、通常の任意売却よりも条件が1つ増えることになります。

そのため通常よりも売却額が低くなりやすいのです。取引を成功させるために必要な値引きと捉えることもできます。

3-2-2.次に、リースバック前提の任意売却によって、住宅ローンの残債を完済できなかった場合、リースバックは利用できません。

その不動産に金融機関の抵当権が付いたままでは、買主に不動産を引き渡すことができないからです。よってすべての不動産にリースバックが使えるわけではない、という点に注意する必要があります。

3-2-3.そして、一度リースバック契約を締結して買主に所有権が移ったら、その不動産の動向を握るのは買主に。

あなたはあくまでも賃貸契約者になります。例えば、売却から5年経って、買主に「急に家を売ることになったので退去してほしい」等と言われた際、そのまま住み続けることができません。

リースバック契約後に思わぬトラブルが発生する可能性はゼロではないのです。こうした課題を踏まえて、利用するべきか否かを判断されるのがおすすめです。

4.自己破産は使いよう?メリットとデメリットを解説

自己破産とは、債務を返済できなくなった方が裁判所に申し出て、債務を帳消しにしてもらう方法です。既述の通り、任意売却によって競売より高く不動産が売却できた場合でも、借金が残るケースがあり、その後の支払いが難しくなって、自己破産や任意整理に至る方もいらっしゃいます。

自己破産に良い印象がなく、絶対に避けたいと思われる方もいるかもしれません。

しかし、実は自己破産には大きなメリットがあります。メリットとデメリットの両方をご紹介しますので、今後を検討する際の参考になさってください。

4-1.自己破産のメリット

自己破産の主なメリットは、次の2つです。

・借金がすべてなくなる
・人生をリスタートできる

4-1-1.最大のメリットは、借金がすべて帳消しになることです。

債務整理の方法は実は3種類(分け方によっては4種類)ありますが、この中で全ての借金をなかったことにできるのは、自己破産だけ。過剰な浪費や慰謝料など一部認められない債務もありますが、それを除けば全ての借金がなくなります。

債務整理の種類についてはこちらで解説しております。

>>「債務整理」を使い、住宅ローンやカードローン等複数の借金を減らすコツや注意点とは

4-1-2.2つ目のメリットは、自己破産によって人生を再スタートできることです。

借金問題が長引くと、家族関係や友人関係の悪化や過度な労働による体調不良、それによる業務への支障等、様々な悪影響が出てくる方が多いです。

ローンの滞納をきっかけに大切な家庭や職場環境が壊れてしまうのは避けるべきだと思います。自己破産などの公的制度を上手に利用して、あなたの生活を守っていくことを考えてはいかがでしょうか。

4-2.自己破産のデメリット

自己破産は利点だけでなく、デメリットもある制度です。主なデメリットは次の2点。

・5年〜7年は融資契約やクレジットカード作成等が不可能になる
・官報に氏名が記載される

4-2-1.自己破産をすればあなたの借金はなくなります。

しかし、自己破産をした情報はあなたの「個人信用情報」に5年〜7年ほど記載され、その間は「ブラックリスト掲載者」いわゆる「ブラック扱い」になります。

この間は、新たなローンを組むことやスマホの割賦契約、クレジットカードの新規作成や更新等ができません。ブラック扱いが終わる「喪明け」を迎えるまでは、個人信用情報が使われないデビットカードやプリペイドカード、電子マネー等を使用し、新規のローンを組まなくても済む方法を考えるのがおすすめです。

4-2-2.また、自己破産を申し立て裁判所から承認されると、自己破産した旨が「官報」に掲載されます。

もし、万が一、官報を友人や知人に見られた場合には、あなたが自己破産をしたことがバレる意可能性があるのです。しかし、実際には官報をわざわざ見る方は非常に少ないので、まずバレないと思って差し支えないと思います。

また、同居の家族にも知られずに自己破産できるよう配慮してくれる弁護士事務所も多いので、極力人に知られることなく手続きを進めることができます。

5.競売と任意売却、自己破産の関連性まとめ

今回は競売や任意売却、そして自己破産に関する情報をお伝えしました。内容をまとめて振り返ってみましょう。

1.競売にかけられると通常よりも低い金額で自宅が売却されやすく、結果として自己破産を選ぶ方も少なくない
2.競売を避けたいなら、競売されるよりも早く任意売却に向けて行動する
3.売却後も自宅に住み続ける方法として「リースバック」があり、近年利用される方が増えている
4.自己破産にはメリットもある。デメリットも踏まえて検討するといい

住宅ローンを滞納して数ヶ月経ち、借入先の金融機関が本格的に督促し出したら、あっという間に競売まで進められてしまう可能性があります。少しの時間も無駄にしないためにも、任意売却やリースバックに関する専門家から正確な情報を手に入れて、適切な行動を教えてもらうのがおすすめです。

また、不動産会社よりも先に弁護士事務所に相談した場合、任意売却を扱うことができないがためにそのまま自己破産を勧められてしまう可能性も。住宅ローンは住宅に付随した商品ですので、まずは、お近くのこの辺りに詳しい不動産会社に相談されてから、提携している弁護士を紹介してもらうのが良い流れだと思います。

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今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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馬場 紘司

この記事を書いた人

馬場 紘司

事例を基に後悔のない取引を目指し、2013年以降40件以上の不動産取引を経験。現在は投資や居住用の不動産を中心に売却価格を上げるリノベーションなど建物の改修に注力。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー2級、住宅ローンアドバイザー。>>その他詳しい実績はこちら

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