土地の売却を検討中の方へ、
こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている不動産鑑定士補兼相続アドバイザーの相樂です。
不動産の売却が決まり、代金の決済が終わった翌年、多額の税金に驚いてしまう場合があります。
売却に伴う税金は、売却額の査定が終わった段階から概算し始めることが可能です。
そのため、事前に把握できると安心です。
そこで今回は、不動産売却の税金対策とはどのようなものか、税金の種類や計算方法、控除などについて解説します。
1.不動産売却時にかかる税金対策の種類
まず、売却の際に買取を進めた場合の注意事項について説明します。
1-1.譲渡所得に対する税金
不動産を売却した金額から、経費を差し引いた譲渡所得に対する税金は、以下の3種類が課税されます。
・所得税
・復興特別所得税
・住民税
所得税と復興特別所得税は国税、住民税は地方税として居住自治体向けに徴収され、売却の翌年に支払いとなります。
譲渡所得に対する税金は必ず発生するわけではなく、売却の結果、譲渡所得がゼロ、あるいはマイナスとなった場合は支払う必要がなくなります。
1-2.復興特別所得税とは?
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のための財源として設けられ、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの25年間、徴収されることになっています。
源泉徴収など、通常の所得や年金からも徴収されていますが、不動産所得は分離課税と言って、発生した時点で他の所得から独立して申告し、納税するものです。
前述のように、譲渡所得税や住民税と税率を合計し、まとめて徴収するようになっています。
1-3.印紙税と登録免許税
1-3-1.印紙税とは?
印紙税は、売却時の不動産売買契約書に、印紙を購入して貼る形式で納税します。
契約書に貼付したら、消印を押すことで納税したということになります。
「何に対しての課税か」というと、契約書の経済活動が対象です。そのため、譲渡所得と同じように感じますが、異なる点は、印紙税は本来売主と買主に、平等に負担義務があるという点です。
ただし、売主と買主の間で「印紙代はどちらか一方が負担する」と決めても差し支えありません。
現状、近年普及しつつある電子契約では収入印紙を貼る義務がなく、納税の必要がない状況となっています。
1-3-2.登録免許税とは?
続いて登録免許税ですが、売却時に売主の方が負担するのは、売却のために住宅ローンを完済したことで生じる抵当権抹消登記です。
納税は、法務局に提出する申請用紙の添付台紙に印紙を貼って納め、納税者の消印は不要です。
2.不動産売却の税金対策に必要な計算方法
続いて、各種税金の計算方法について説明します。
2-1.譲渡所得に対する税金の計算
2-1-1.計算に必要な要素
まず、計算のために必要な要素は以下の通りです。
・売却価格
・取得費(建物の減価償却費を差し引く)
・譲渡費用
・適用する税率
2-1-2.計算方法
売却価格から、取得費と譲渡費用を差し引いたものが譲渡所得で、譲渡所得に税率を掛けたものが納税額となります。
売却価格-取得費+(譲渡費用-建物の減価償却費×税率=納税額
取得費は、売却する不動産の取得にかかった費用のことです。譲渡費用は、仲介手数料や取り壊し費用など売却にかかった費用ですが、いずれも経費として売却額から差し引きます。
減価償却費の金額は、「建物の購入時の価格×0.9×建物構造ごとの償却率×新築時からの経過年数」で計算し、新築時からの価値の下降を反映させます。
税率は所得税、復興特別所得税、住民税の税率を合わせて計算します。
2-1-3.所有年数で異なる税率
しかし、所有期間5年以下の場合の短期譲渡、5年以上の長期譲渡、10年超所有の場合で税率が異なります。
一般的な短期譲渡の場合で、所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%となっています。
2-2.印紙税と登録免許税の計算
2-2-1.印紙税の計算
印紙税は物件の売却価格に応じて異なります。代表的な価格帯は、500万円超1,000万円以下で5千円、1,000万円超5,000万円以下で1万円です。
前述のように、印紙税は誰がどのように負担するかを、不動産会社を交えて事前に決めておく必要があります。
2-2-2.登録免許税の計算
登録免許税は土地一筆、建物1棟につき1,000円ずつとなり、住所変更なども同様の金額です。
なお、税金ではありませんが登録免許税以外に、司法書士に依頼する場合の報酬も登記簿謄本の書き換えに必要となり、費用は1万円から2万円程度かかります。
2-3.贈与と相続時の計算
2-3-1.課税制度の選択
贈与と相続の際は税額の概算のほか、暦年課税と、相続時精算課税のどちらが節税になるかなどの試算も必要となります。
両者の違いは以下の通りです。
・暦年課税:年間110万円を超えた分を申告する
・相続時精算課税:2,500万円分までの贈与が非課税となるが、相続時にその分が合算されて課税される
この2つの制度のどちらかを選択することとなります。
2-3-2.相続時精算課税を選ぶ基準
例えば、相続時精算課税を選ぶ基準は以下の通りです。
相続税の基礎控除を利用した方が節税であったり、将来値上がりが予測される物件について、現在の価格を課税標準にできるなどのメリットがある場合は相続時精算課税です。
これらの試算による選択は、次項の所得税の控除の特例で、併用できないものをどちらか選択するときにもおこないます。
3.不動産売却の税金対策で節税に利用できる控除
最後に、相続した物件の売却をおこなう際の注意事項について説明します。
3-1.売却益の控除の特例
売却益の控除の代表例は以下の通りです。
3-1-1.3,000万円特別控除
住宅を売却した際に、売却額から3,000万円が控除できる制度です。
3年以内に売ることや、その不動産から収益を得ていないなどいくつかの要件を満たせば適用できます。
相続した実家などについても、同様に3,000万円が控除できる「空き家特例」という制度があります。
3-1-2.所有期間が10年を超える場合の軽減税率
前述のように、所有期間が10年を超える不動産については、一定の要件を満たすことで、短期譲渡よりも税率がさらに低くなります。
譲渡所得のうち6,000万円以下の部分については、通常の長期譲渡所得の20.315%の税率が14.21%となります。
3-1-3.買い替えをする場合の特例
所有期間が10年超の居住用財産を売却して、一定期間内に新たな居住用財産を取得した場合、譲渡所得への課税を次回の売却まで繰り越しすることができます。
あくまで免除ではなく繰り越しされるため、次に買い替えをした場合は、その際の売却分の所得に加えて課税されることになります。
3-1-4.売却損に対する特例
正式には「居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除」と言い、自宅を売って赤字になった=購入した金額より売却した金額の方が少ない場合に利用できます。
損益通算とは、ある所得で赤字が出たとき、他の所得からその損失を差し引くことで、不動産売却以外で出た所得から赤字を控除することができる制度です。
この控除は3年にわたって繰り越すことができ、1年で差額を埋めきれなかった場合も翌年以降に適用できます。
3-2.控除の利用には、確定申告が必要
譲渡所得を計算した結果、課税対象とならなかったら確定申告は不要です。
しかし、控除の特例を利用したり、損益通算を申告したい場合は、確定申告をすることになります。
申告は必要書類をそろえて、税務署で記入のサポートを受けることができます。
なお、特例や税率などの規定は、適用年度で内容が異なったり、制度が変更になる場合があるため、必ず最新情報をご確認ください。
4.今回のまとめ
今回は、不動産売却の税金対策とはどのようなものか、税金の種類や計算方法、控除などについて解説しました。
4-1.不動産売却の税金対策とは?税金の種類や計算方法などについて解説まとめ
数字の並びを見ているだけで頭が痛いという方も多いかと思いますが、既存の金 額を当てはめるだけなので意外に難しくはありませんし、ご相談頂ければサポートいたします。
スムーズで理想に近い形の売却のためには、専門知識に基づいた検討の上、さまざまな手段の中から方針を決めて進めるのが良いです。
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