繁忙期の終わった4月と10月はトラブルの相談件数が一気に増えます。
最近、オンライン内見が増え、この手のトラブルの相談が増えています。その為、オンライン内見だけでなく、契約前に現地を見ることをお勧めしています。
先日、入居前の告知義務に関して以下のような相談を受けました。
1.十分な説明を受けずに賃貸契約をしてしまった。損害賠償請求できますか?
賃貸で借りた部屋に関して、契約時、過去に同じマンションの別部屋で自殺があったと説明を受けていました。しかし、契約後、自殺ではない可能性があると言ってきました。
また、室内の傾斜や過去に雨漏りがあった箇所等も未告知・契約書へ未記載のまま契約してしまい困っています。引っ越したいのですが、不動産会社にどうすれば損害賠償などを請求できますか?
2.ご相談に対する私たちの回答
2-1.不動産会社の告知義務について
まず、同じ建物内における別部屋の自殺に関して、貸主に説明義務はありません。また、重要事項説明書で地盤について説明する項目もなく、基準値内の家の傾きは告知義務ではありません。
ただ、建物の傾斜が賃借人の身体機能を害すると判断される基準として、建物に1000分の6以上の傾き(1mあたり6ミリの傾斜)があります。傾斜が0.6度程度であれば、入居者はめまいは頭痛の症状がでると想定されています。
そのような物件は賃貸するのに適していない状態として、賃貸人は傾斜の修繕義務や賃料の減額などをしなければならないこともあります。
2-2.損害賠償請求できる可能性はあります。
貸主との話し合いの前に、まず弁護士に賃貸契約書を見せて、家の傾き状況や雨漏りの写真や記録をとっておき、貸主にいくら請求できるかを相談した方が良いです。
というのも、弁護士さんはある程度勝ち目がないと動いてくれない事が多く、また、10分いくらなどの相談料が発生することが多いため、事前に準備をしてから、相談する方が良いと思います。
なお、家の傾きは人体に影響をおよぼす基準値と立証できれば、これは重要事項説明の事項なので告知義務違反にあたります。そのため、家の傾きを測定できる業者に依頼して、その費用を大家に請求できる可能性は高いです。
ただ、同じ建物内の別の部屋の自殺に関しては貸主に説明義務はないため、その点に対する費用請求は難しいです。
3.このようなトラブルに遭わないために
正直、傾いている部屋と言うのはそうそうないですが、今回のケースと同様のトラブルに遭わないために、引越しをするうえで自分が重視しているポイントは事前に確認して下さい。例えば、今回のケースで言うと、建物の傾斜は現地に行き、内見の際に確認できると思います。
前述したように、ある程度の基準を満たさなければ告知義務がないため、気になる場合は欠かさずチェックして下さい。また、別部屋の自殺も特に告知義務はないため、今回は不動産会社が良心的だったのではないでしょうか?
この手の話は本来、こちらから確認しなければ、教えてくれることは少ないです。そのため、別部屋での事故についても気になる場合は、必ずヒヤリングしましょう。霊感が強いと思っている方などは特にマンション全体で又は周辺のマンションで事件が起きてないか、担当に確認するだけでも違います。
最後に、国土交通省が事故物件の告知義務について、やっとガイドラインを出したので私たちなりの理解を含め、その内容をこちらのページにまとめておきました。よっぽどのことが無いと、契約後のキャンセルは出来ない部屋探しの経験が少ない人など、慎重に進めて下さい。また、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。
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あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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