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麻布十番・賃貸マンション、㈱リビングインの防犯設備士兼ファイナンシャルプランナーの馬場です。
賃貸マンションを借りて、新生活を送るとき、マンション内外の騒音でトラブルなく、安心して暮らすために事前の注意が本当に大切です。特に、内見時に周辺環境や建物にどんな人が住んでいるのか確認することは非常に大切だと思います。安易に決めてしまうと後々トラブルに遭ってしまうことも。
今回は騒音トラブルで賠償金が認められた事例や認められやすい条件について説明し、あなたが契約や引っ越し後に不安になって、ソワソワしないための事前確認や注意点を不動産絡みのトラブル案件を主に扱っている専門家、元弁護士先生と一緒に考えました。
せっかく引っ越しをして賃貸住宅に入居しても、近くで騒音が発生したらストレスで生活どころではなくなってしまいます。例えば、小学校や幼稚園が近くにあるだけでなく、飲食店や公園が近くにあり、深夜になってもうるさいなど眠れず、我慢できなかったら、再度引っ越しするしかないのでしょうか?
実は、近隣の騒音があまりに酷い場合、相手に対する損害賠償請求や差止請求が認められる可能性があります。 最近は、工事現場でも騒音・振動メーターを付け、工事を行っている場合もあります。それぐらい、この手のトラブルに関して、多くの人が敏感になっています。
1.騒音トラブルが起こりやすいケース
駅近等の繁華性や利便性を重視する1人暮らしの場合、部屋探しの確認事項を誤った賃貸物件に入居すると、例えば、以下のような騒音被害に遭う可能性があります・・・身に覚えのある方が多いのではないでしょうか?
- 近くに小学校や幼稚園があって、子どもの声がうるさい
- 近くに線路や高速道路が通っていて、電車や車の音がうるさい
- 駐車場で車の出入りがあって車やバイクの音がうるさい
- ペットの鳴き声がうるさい
- 近隣住民の子どもの足音や声がうるさい
- 隣室の住民が友人を呼んで大騒ぎをする
- 近隣で大規模工事が開始された
最後の大規模工事に関して、家にいることが多く、
多くの方が実感している通り、ECの利用が一般化し、都市郊外に倉庫が増えています。世田谷区の方で実際にあった倉庫建築時の騒音に関する相談を参考に、
また、準工業地域は倉庫や工場へ荷物を運ぶトラック等の大型車が行き来するため、
2.騒音トラブルによる賠償請求が認められるかどうかの判断基準
度を超えた騒音被害がある場合には、騒音を発生させている相手に賠償金の支払や騒音の差止請求ができます。特に、大家さんや管理会社、賃貸物件を紹介した不動産仲介会社から適正な説明を受けられなかった場合、契約を解除して引っ越し費用等を出してもらえる可能性もあります。 ただし、こういった主張が必ず認められるとは限りません。
ちなみに、裁判所は「受忍限度を超えるケース」でのみ騒音被害にもとづく賠償請求を認めています。受忍限度とは「我慢すべき限度」です。騒音が酷く法律的に我慢できないレベルになっていたら、相手に対する賠償請求や契約解除が認められる可能性があります。
下記、質問にあった【近くに線路がある賃貸マンション】の件も度を超えていると認められた場合には賠償を請求することが出来ます。但し、本人が現地を確認し、気づく範囲の騒音や悪臭、トラブルなどは認められる可能性が減ります。例えば、踏切、高速道路、隣人のタバコやベランダのゴミなど・・・この辺りは自身で現地に行けば分かる事なので認められない可能性が高いです。
>>実際に騒音トラブルに遭い、管理会社や警察に相談した方にヒアリングを行い、こちらにページにまとめました。
3.騒音トラブルで請求が認められた9つの事例
では、どういったケースで「受忍限度を超える騒音」と認められるのでしょうか?以下では、実際に騒音トラブルによる損害賠償や差止請求が認められた事例・判例をご紹介していきます。
3-1.上階の子供の騒音
ファミリー物件に入居したところ、上階の子どもが走ったり飛び跳ねたりするので耐えられなくなった方が訴えた裁判です。測定の結果、騒音レベルは50~65dbでした。裁判所は上階住民に対し、36万円の賠償金支払い命令を下しました。
3-2.祈祷所からの騒音
近隣に宗教関係の祈祷所ができて、日々大声や太鼓、鐘の音、ホラ貝を吹く音などが聞こえて夫婦が精神的苦痛を受けた事件です。裁判所は祈祷所側に対し、夫に対して高額の約600万円、妻に対して約165万円の支払いを命じました。
なお、騒音だけでなく、被告(宗教施設関係者)から夫へ暴行が振るわれ、怪我をした経緯があったため、高額となっています。また、騒音レベルについては、宗教施設側が50dbと主張したが排斥されており、明確なdbは明らかになっていません。
3-3.エアコン室外機からの騒音
近隣の学校に設置されていたエアコン室外機から生じる騒音に苦しんだ住民らが起こした裁判です。裁判所は学校側へ対し「住民の居宅へ50db以上の音を到達させてはならない」と命じ、住民らそれぞれへの10万円の賠償金支払いを命じました。
具体的に数字を使って、判例を出しているので、実際に騒音トラブルだと感じたら、そのレベルを測定し、判断することが出来ます。 ただ、立地によっても若干異なるようです。例えば、幹線道路沿いと住宅地ではその基準が大きく異なります。
3-4.電車による騒音
近隣に線路が走っていたため、振動と騒音に苦しんだ住民が起こした裁判です。住民らはめまいや頭痛、胃痛や睡眠不足に悩まされていました。測定の結果、騒音レベルは78~96dbでした。
裁判所は鉄道事業者に対し、住民らそれぞれに対し22万8千円の支払命令を下しました。鉄道事業者であっても騒音トラブルに関しては敗訴します。こちらは下記、線路に関する質問をご確認ください。
3-5.新幹線の架線による騒音
近隣に新幹線の線路が建設され、日々大きな騒音被害に苦しむようになった住民が鉄道建設公団を訴えた事例です。騒音レベルは70dbを上回っていました。裁判所は国側に対し、住民ら対して合計約1,850万円の支払い命令を下しました。
3-6.スーパーマーケットのコンプレッサーによる騒音
ビルの1階にスーパーマーケットが入っているマンションで、2階の居住者がスーパーマーケットを訴えた裁判です。スーパーは外に室外機を置いていたため、住民は騒音と振動に悩まされ、睡眠妨害などの被害を受けていました。測定された騒音レベルは60~70dbでした。
裁判所はスーパーマーケット側へ騒音を小さくするよう命じるとともに、住民らへの賠償金合計約98万円の支払いを命じました。 スーパーマーケットのコンプレッサーについては、他にも163万円の支払い命令や差し止め命令が出た事例、50万円の支払い命令が出た事案などがあり、被害者側の主張が認められるケースがしばしばあります。
例えば、一階や隣のスーパー他飲食店などの室外機がいつもうるさいケースなど、実は損害賠償が認められるケースがあります。
3-7.マンション工事の騒音
近隣でマンション建設工事が開始されたため、騒音被害に苦しんだ住民が裁判を起こしたケースです。 騒音計による測定では54~78dbの音が検出されました。裁判所は建設業者に対し、住民らに対して合計45万1千円の支払いを命じました。
今だと、耐震工事とかも結構な音が出ます。事前にキチンとあいさつなど説明をしてくれる工事業者だと幾分は我慢できますが・・・。
3-8.マンション建設による騒音
近隣でマンション建築が進められ、85db以上の騒音が160日以上継続していたケースで住民が業者を訴えたケースです。裁判所は業者に対し、合計209万円の賠償金支払いを命じました。
さすがに、半年近く、このレベルの騒音が続くと、賠償対象になりますよね。建築会社の方もこれはキチンと対応しないといけません。最近は、社会的な立場を考えずに行う工事などで更に大きな問題も起きています。
3-9.建物解体工事による騒音
近隣で建物解体工事が行われたため、騒音被害に悩んだ住民が業者を訴えた訴訟です。 騒音レベルは85~94dbに達していました。裁判所は業者側に対し、住民それぞれに対して10万円、合計180万円の支払い命令を下しました。
4.騒音被害で賠償金が認められるには騒音の証明が重要
騒音被害で業者や隣人、仲介業者などに対する賠償請求、差止請求が認められるには当たり前ですが、「騒音の証明」が必要です。 具体的には騒音計で計測し、一定以上の騒音が継続的に発生している事実を示さねばなりません。
近くに学校があって子どもがうるさい場合や道路からの音がうるさい場合でも、騒音を証明できない場合や音が小さい場合には引っ越し費用や賠償金の請求ができないので注意しましょう。
今はスマホのアプリで簡単に騒音や振動の計測が出来てしまうので、引っ越し後、眠れないほどうるさいなと思ったら、計測してみるのも一考です。
5.騒音被害への対処方法
賃貸物件に入居する際には、しっかり現場を確認して騒音や振動を発生させる不安要素がないかチェックしましょう。内覧時にアプリで騒音レベルを計ってみたり、仲介業者からも納得いくまで説明を受けるべきです。
例えば、近くに酔っ払いが多くいそうな飲食店があったり、幼稚園や小学校があったり、一時的ですが、工事現場がいくつもあったり、幹線道路が近かったり、目の前になったりした場合にはキチンと窓を開けて、騒音や振動を計測することがとても大切です。
万一、引っ越し先で騒音被害が発生したら、管理会社に相談して被害の軽減をお願いしてみましょう。それでも騒音や振動が酷く、長く続き、隣人、貸主や不動産仲介業者の責任を追及したい場合、騒音計で音量レベルを測定して、弁護士に相談してみてください。
本稿を失敗しない部屋選びの参考にしていただけますと幸いです。
参考サイト:日本騒音調査ソーチョー
これまで8年近く賃貸マンションの紹介・仲介を実務でやってきた感想としては、建物内の騒音トラブルの方が闇が深いと思います。周辺環境の車、踏切、居酒屋、酔っ払い等の問題は案外内見等引っ越し前に気づき、他のマンションにすることが出来ます。
その為、周辺+事件や事故で検索したり、担当の人に以前のトラブルなどを聞いておくことは凄く大切な事だと思います。不慣れな土地などで騙されないように最低限の確認はしてからお部屋の申し込みをするようにして下さい。遠方への引っ越しなど分からないまま引っ越して、後悔と言う場合、とても多いです。
最後に、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法を建築士さんにレクチャーしてもらいました。他にも【元弁護士と考える】シリーズ、告知義務の必要な事故物件を選ばないための賢い対策他以下の通りです。
>>【元弁護士と考える】事故物件を契約する前の告知義務?その確認方法や注意点は?
>>【元弁護士と考える】不動産屋からウソを教えられた時の対応は?
>>【元弁護士と考える】騒音、地震、虫などないと言われたのに、嘘だったら
>>【元弁護士と考える】仲介手数料の支払い無効裁判(2019年夏)
>>【元弁護士と考える】騒音や悪臭、ナンパ等『隣人トラブル』の対処と引っ越し代は?
その他、事故物件に関する記事はこちらです。
>>麻布十番の事故物件を見に行って、その場で原因分析(その1)
>>麻布十番の事故物件を見に行って、その場で原因分析(その2)
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賃貸マンションの騒音(電車)について
近くに線路がある賃貸マンションです。
騒音測定器で計測したところ73デシベルという数値が出ました。
(環境省によって「騒音の環境基準」が定められています。その基準値によると、住宅地の騒音基準は昼間で55デシベル以下、夜間で45デシベル以下となっています。)
この事は事前に説明を受けておらず、契約書や重要事項説明書にも記載はありませんでした。
引っ越しをして4ヶ月程なのですが、
リモートワークが始まり、日中帯も家にいる時間が長くなり、気づいた点となります。
このことを管理会社に話しても全く取り合ってもらえず、訴えてもいいですよというスタンスを取られています。
この後、どのようにしたらよいかお知恵をお貸しいただきたいです。
また、管理会社からは「騒音に関しては、説明も書面への記載も義務がないので」とのお話を今しがたいただきました。
高階さん、
コメント、ありがとうございます。
今日、明日中に弁護士さんにきちんと確認し、
回答・対応を報告します。
少々お待ちください。
高階さん、
お世話になります。相樂とのLINEのやり取りを含め、確認しました。
以下、ご確認下さい。今回の電車の騒音に関して、判例を踏まえ、まとめました。
騒音に関するトラブルは判例でもその限度がが非常に難しく、
今回の場合以下のようなものが似たものではと思われます。
https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/79-110.pdf
1.重要事項説明書の記載に関して
管理会社からは「騒音に関しては、説明も書面への記載も義務がないので」と書かれていますが、
重要事項説明書内に一般的な内容と建物やお部屋個別の特殊な事項を記載しなければなりません。
もし、不備がある場合には、重要事項説明書を作成した業者さんへ、行政からの指導が入ります。
先ずは契約書類を見返してみて下さい。
2.現状の確認に関して
次に、防音対策がされている部屋だと聞きましたが、実際にされていますか?
もし、住宅の騒音基準を超えているようなら、管理会社ではなく、契約主体の大家さんの方に打診された方がいいと思います。
3.今後の進め方に関して
最後に、先ずは管理会社に再度本件話し、対応してくれなさそうであればば、
大家さんに騒音対策を取って貰らえるか連絡した方がいいと思います。
管理会社は大家さんの指示で動いているだけなので。
もし、東京都であれば、都庁にこのような住宅相談ができる場所があります。
住宅政策本部内、03-5320-5071に電話してみて下さい。
個人的には、騒音対策を取るよりも契約不備等で他の部屋に引っ越してもらうべく、
損害賠償として、引っ越し代を負担する方がスムーズではないかと思っています。
以上です。何かの参考になれば、幸いです。
先ほど、お電話したものです。
初めまして、相談なんですが、昨年10月に越してきたマンションの換気設備が整っていなく、マンション内の空き部屋に移動させていただきました。
その後、今年の5月に雨漏りでまた違う空き部屋に移動となり、家主はコロナの影響でお金がなく管理会社が損害賠償金として請求した八万円が払えなく、六万円を私に損害賠償として払ってくれました。
が、先月から雨漏り工事が始まり、朝から音が煩く夕方から早朝にかけ、夜勤で運転の仕事をしている私には睡眠不足で仕事も出来なくて、こんな状況どうしたらいいのでしょうか??
中村さん、
コメント、ありがとうございます。
1.まず、今回の物に近い判例と元横浜市職員の方が書いた騒音・振動に関する対応について、
説明いたします。
https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/42-061.pdf
改修工事伴う騒音で賃借人がホテル等で過ごした場合の代金を請求したものです。
裁判では棄却されています。今回の場合、勝手に動かず、管理会社又は大家さんと本件再度話し、
工事業者の作業時間の調整などをお願いした方がいいと思います。
2.また、今日、明日中に弁護士さんにきちんと確認し、本件回答・対応を報告します。
こちら、確認でき次第、ご連絡いたします。
少々お待ちください。
ありがとうございます。よろしくお願いしますm(__)m
中村さん、
お世話になります。下記、状況、確認できました。
1.共用部分の工事に関して、騒音が酷い場合にはまず管理会社や大家さんに連絡してみて下さい。
夜勤で昼間寝ることを話、騒音が酷いの一定期間などホテルなどで過ごし、その費用を負担できないか聞いてみて下さい。
2.もし、上記話してみても何も対応してくれない場合には、以下の対応をとってみて下さい。
酷い騒音を伴う工事に関しては、特定建設作業を行う業者として、各自治体へ届け出を行っていると思います。
そこで市区町村に連絡し、事情を話してみて下さい。何かしら、解決策を見つけてくれると思います。
ちなみに、騒音が激しく、周辺の生活環境が損なわれると認められる時はその業者に対して、
市区町村から改善勧告や改善命令を出すことが出来ます。
その際に、工事による騒音がどれくらいのものなのか、スマートフォンのアプリで計って、説明してみると良いと思います。
例えば、東京都の場合、振動規制法で一部の作業に関して75デシベル以下にしないといけない等あります。
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公害苦情の受付から解決まではこちらです。
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/about/contact_list/contact_cities.html
お問い合わせはこちらです。
https://cgi.metro.tokyo.lg.jp/cgibin/cgi-bin/fmail_input_disp.cgi?dep_id=ev12&scr_id=f001&lang_opt=00
以上です。何かの参考になれば、幸いです。