離婚時の財産分与について

【離婚時の財産分与】家や住宅ローン、税金はいつ、どうすればいい?

財産分与とは、『離婚時、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を双方に分与する』ことです。

財産分与の対象となる「結婚中に購入した不動産(自宅)・自動車・有価証券・生命保険の返戻金」などの「共有財産」と呼ばれる資産を、夫婦で分け合う必要があります。

なお、財産分与を行う際は、夫婦それぞれに2分の1ずつ分け合うのが一般的です。

ただし、結婚中に財産を形成した経緯や状況などを考慮して財産分与の割合を修正されるケースも存在します。

このため、財産分与を行う際は、事前に夫婦で良く話し合いを行なったうえで、双方が納得できない場合は、弁護士などに相談して助言を求めてみてください。

ここでは、アリネットがこれまで受けてきた離婚時の財産分与に伴う、家の任意売却、住宅ローンの対応等の相談について、よく聞かれることを中心にまとめました。

1.離婚時の財産分与とは? 共有財産の対象・範囲・リスト

自宅の財産分与で名義変更は?

離婚時の財産分与の基礎知識、 共有財産の対象・範囲・リストをまとめました。

1-1.離婚時の財産分与とは? 非課税の対象・条件とは?

財産分与とは、「離婚時に、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を双方に分与する」ことです。

民法第768条に定められており、離婚の時、相手に対して財産の分与を請求することができます。

離婚が現実的になってくると、早く離婚したいばかりに、キチンと財産分与についての話し合いや取り決めをせずに離婚して、後悔するケースが後を絶ちません。

金銭的にも精神的にも離婚後の生活をスムーズにするために、財産分与をキッチリと行って欲しいと考えています。

1-2.離婚時の財産分与の割合の決め方、相場・平均額

離婚時の財産分与の割合は、夫婦の話し合い(離婚協議)が基本となります。

しかし、結婚期間中に得た財産を50%ずつ分けるケースが一般的です。

ただし、夫婦どちらかの特殊な才能や多大な努力により築かれた資産と判断された場合、当該資産については財産分与の際に考慮される可能性があります。

結婚期間中の夫婦の生活のために作った借金は、財産から相殺し、残額を財産分与の比率に応じて分与します。

借金があるケースの詳細は後述します。

1-3.財産分与の3つの種類

財産分与には以下の3種類があります。

1-3-1.清算的財産分与

夫婦が結婚期間中に作った財産を、名義にかかわらず清算することです。

それぞれの貢献度に応じて分与され、離婚による財産分与の多くのケースでメインとなります。

離婚の原因を作った有責配偶者も清算的財産分与を請求可能です。

1-3-2.扶養的財産分与

離婚が原因で生活に困窮する配偶者の生計を補助する扶養的な意味合いを持って財産分与することです。

一般的に、専業主婦・主夫や傷病を抱えているなど経済的に弱い立場の配偶者に対し、離婚後も経済的に強い立場が一定額を支払うことが多いです。

1-3-3.慰謝料的財産分与

どちらか一方が相手方を傷つけたことに対して、「慰謝料」「解決金」「損害賠償金」といった意味合いを持って、財産分与が行われることを言います。

1-4.財産分与の主な3つの方法

財産分与は主に、下記の3つの方法で行われます。

1-4-1.現物を分与する

家具家財、家電など現物で分与できるものは、お互いが欲しいものを話し合いで分け合います。

売却するのは手間がかかりますし、一般的に価値が下がってしまうため、現物で分与できるのであれば、現物分与した方が良いと考えています。

1-4-2.現物を保持し、相手方に金銭を支払う

一方が現物を保持し、他方に対して分与の割合に応じて金銭を支払う方法があります。

家や土地などの不動産、自動車等、1つのものの金額が大きくて分けづらく、売却するよりも保持した方が価値の保全がしやすい物などが対象となることが多いです。

例えば、財産分与の割合が50%ずつで、一方が時価200万円の自動車を保持する場合、他方に対し100万円の金銭を支払うことになります。

1-4-3.財産を売却して分与する

財産を売却して、その売却金を財産分与の割合に応じて分与する方法もあります。

住宅ローンが残っている、離婚後に家や自動車など対象物を保持する予定がない、保持したくない、現金が必要といったケースで多いです。

離婚で全てをリセットして、新しい生活を築いていきたいという時にも良いかと思います。

1-5.財産分与の手順

財産分与は以下の手順で進めていきます。

(1)夫婦で話し合い(離婚協議)、割合等の取り決めをする。

(2)取り決めた内容で文書を作成して残す。

なお、離婚時点で財産分与の全てが清算されず、定期的に支払われていく約束の場合、公正証書を作成しておくことをお勧めしています。

公正証書を作成しておくことで、もし支払いが滞った場合に、給与の差し押さえ等ができるからです。

ちなみに、公正証書は役場で作りますが、基本は夫婦で行く必要があります。どちらかが行きたくないと言った場合には弁護士や司法書士など代理人をたてることになります。

ただ、簡単な承認作業に費用が発生するのは馬鹿げていると思うので、基本的には夫婦で行くようにしてください。

万が一、夫婦の話し合いでうまくまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停や離婚審判、離婚訴訟を申し立てることになります。

ここまでくると、弁護士に相談した方が良いです。

相談費用がかかっても、結果的にあなたが将来的な損をしないで済むと思います。

なお、家庭裁判所に持ち込んだ場合、共働きでも、夫婦の一方が専業主婦・主夫であっても、共有財産を50%ずつ分けるよう命じるケースが多いようです。

1-6.養育費の支払いがある場合

離婚で問題となるケースが多いのが、子どもの養育に関することです。

とりわけ養育費は話し合いがうまくまとまらない、約束通り支払われない等、トラブルになるケースが後を絶ちません。

1-6-1.養育費の定期支払い

非親権者側により養育費は、定期払いで支払われることが多いです。

一般的には、成人までという約束で毎月支払う取り決めをすることが多いと思います。

支払う側も一度にまとまったお金が必要がないこと、受け取る側も長期にわたって一定の収入が見込まれるというメリットがあります。

一方で、約束を守らず養育費の支払いが滞る、定期的に子どもと会える約束で養育費の支払いをしているのに守られない、といった問題も起こっています。

こうした問題を防ぐためにも口約束にせず、公正証書を作成しておくことをお勧めしています。

1-6-2.養育費の全期払い

非親権者側が負担するべき養育費の全額を一括で支払うケースもあります。

大きな金額になるので稀なケースですが、非親権者側に支払い能力がある場合はこうした方法を取ることも可能です。

全期払いによって、下記のメリットがあります。

  • 離婚時に夫婦間の債権債務をキチンと清算できる(手続きとして好ましい)。
  • 途中で養育費の支払いや約束事が履行されないリスクが軽減できる。
  • 特に夫婦関係に大きな問題が生じての離婚の場合、離婚後に連絡を取り続ける精神的な負担がなくなる。
  • まとまったお金が入ることで子どもの生活や進学などについて余裕を持って計画ができる。

全期払いの場合も、高額な金銭のやり取りとなるため、やはり公正証書を作成しておく方がのちのトラブルを防ぐためにも安心です。

1-6-3.養育費を受け取ると課税対象になるのか?

養育費は子どもの生活費であるため、毎月定期支払いを受ける場合には、基本的には課税対象になりません。

しかし、全期払いの場合は大金となるケースが多いため、場合によっては贈与税など課税対象となる可能性があります。

よって全期払いを検討する場合は、弁護士や税理士等専門家に相談してから決めるようアドバイスしています。

1-7.離婚の財産分与で受け取ったものはいくらから税金がかかるのか?

離婚の財産分与で受け取ったものに対しては、原則として税金はかかりません。

なぜなら、財産分与の原資となっている共有財産は、もともと夫婦二人で築き上げ、所有しているものだからです。

そのため、財産分与に伴って手続上所有権を移転しても、贈与税はかかりません。

しかし、常識の範囲を逸脱するような大きな財産分与があった時には、逸脱した金額部分が贈与税の対象となる可能性があるので、注意して欲しいと思います。

なお、こうした課税の考え方は、慰謝料や損害賠償金も同様です。

2.離婚時の財産分与の対象となる共有財産の対象リスト一覧と注意点

相樂個別面談

離婚時の財産分与の対象となる共有財産の対象をリスト一覧にまとめました。

その中で特に注意が必要な点をピックアップして解説しています。

2-1.離婚時の財産分与の対象となる共有財産の対象リスト一覧

財産分与の対象となったものを過去の判例から集め、検索してみました。

  • 現金
  • 預貯金(夫婦それぞれ、子ども名義含む)
  • タンス預金
  • へそくり
  • 株式(上場、非上場)、債券など有価証券
  • 投資信託
  • 積立NISA
  • 住宅
  • 不動産(土地、建物など)
  • 家具、家財
  • 家電
  • 自動車
  • 宝石、骨董品、絵画、美術品、着物など金銭的の高い物
  • ゴルフの会員権
  • 生命保険(解約返戻金を受け取れるタイプのもの)
  • 自動車保険、学資保険、損害保険など解約返戻金を受け取れるタイプのもの
  • 年金
  • 退職金
  • 夫婦が生活する中で作った借金、負債(住宅ローン、自動車ローン、子どもの教育ローンなど)

2-2.共働きなど夫婦別財布で貯金、妻の方が収入が多い場合は?

結婚期間中に得られた財産は、基本的に財産分与の対象である共有財産とみなされます。

したがって、共働きで夫婦別財布であっても、それぞれの名義で貯金してあっても、妻の方が収入が多くても、一方が専業主婦・主夫であっても、それらはすべて共有財産となります。

例えば、生活費のすべてを妻名義の預金口座に入れていたとしても、共有財産です。

2-3.貯金なしの場合は?

貯金なしの場合は、貯金以外の金銭的価値のあるものが共有財産となります。

現金がなくても家具家電など生活必需品で金銭的価値のある物を所有していることがほとんどだと思うので、貯金がないからと言って共有財産がないとは言えないケースが多いと思います。

なお、貯金や金銭的価値のある物がなくて、借金・負債がある場合はそれも共有財産となるので、2人で借金・負債を分け合うことになります。

2-4.預貯金を隠したり、通帳開示を拒否したりしたらどうなる?

不仲になってしまった相手に、個人的な預貯金や通帳を開示するのは抵抗があるかもしれません。

しかし、結婚期間中に貯めた財産は財産分与の対象になるため、キチンと報告してください。

隠して後々バレてしまった場合、財産分与の対象になるだけでなく、「財産権の侵害」として相手方に訴えられる可能性があります。

逆に、相手方が財産や預貯金隠しをしていると考えられる場合、家庭裁判所に離婚調停を持ち込んで、裁判所に財産の調査を委託することも可能です。

また、離婚後に財産や預貯金隠しを知った場合、知ってから3年以内であれば損害賠償を請求できることが民法第724条に定められています。

2-5.離婚の財産分与でへそくりは隠しておいて良い? バレた時のリスクとは?

結婚期間中に貯めたへそくりは、財産分与の対象になります。

なぜなら、へそくりは夫婦の生活費の中から作られたものだからです。

財産分与の際は、キチンと共有財産として報告してください。

隠しておいて万が一バレた場合、離婚後であっても財産分与の割合にしたがって配分されます。

財産分与の請求期間は、離婚が成立してから2年間の期限がありますが、へそくりを隠していれば「財産権の侵害」になります。

隠されていた側は損害を与えられたとして、隠していた側に請求することも可能なため、余計なトラブルを避けるためにも、へそくりは正直に申告するようにアドバイスしています。

2-6.へそくりが財産分与の対象とならないケースもあるって本当?

上記で述べたように、へそくりは基本的に財産分与の対象となりますが、例外があります。

それは例えば相手方に浪費癖や生活費を使い込むなどの行為があり、将来のために切り詰めてへそくりを作っていたなどの場合です。

相手方の非が認められれば財産分与の割合が考慮される可能性があります。

2-7.子ども名義の預貯金は財産分与の対象になるのか?

子ども名義の預貯金を夫婦が行い、管理していれば、財産分与の対象である共有財産となります。

一般的に子ども自らが収入を得て預貯金をするケースは少ないので、基本的には共有財産となると思います。

ただし、子ども名義の預貯金や学資保険は、夫婦で合意すれば養育費に充てることもできます。

例えば、離婚後成人するまで一定の養育費を支払うと取り決めたケースで、結婚期間中に積み立てられた子ども名義の預貯金をその養育費の一部として、親権を持つ側に渡すといったことです。

2-8.退職金はどう財産分与すれば良いのか?

退職金も財産分与の対象になります。

なぜなら、退職金は「後払い賃金」の性質を持ち、夫婦の結婚期間中に作られた財産と考えられるからです。

しかし、退職金の取り扱いは複雑で、ケースバイケースと言わざるを得ません。

そこで離婚と退職金受け取りのタイミングを大まかに分けて、基本的な考え方を整理しました。

2-8-1.すでに退職金を受け取っている場合

熟年離婚など、すでに退職金を受け取っている場合は、他の共有財産と一緒に財産分与の対象になるのでシンプルです。

ただし、離婚までの間に退職金を使ってしまっている場合は、分与する財産がないことになります。

住宅ローンの一括返済や家のリフォームなどで、使い切っている場合などです。

2-8-2.近い将来退職金を受け取ることが見込まれる場合

定年まで数年など、概ね退職金が受け取れると見込まれる場合は、財産分与の対象となります。

ただし、まだ受け取っているわけではないので、取り扱いについては夫婦の協議が必要です。

退職金が見込まれ、一括で支払える場合は離婚時に退職金を加味した財産分与を行うこともできます。

公務員や大手の企業勤務など、退職金を受け取れる可能性が高い場合などです。

とはいえ、こうした余裕のあるケースはあまり多くないので、退職金を取得してから分与するという内容で協議書を作成しておくことが多いと思います。

2-8-3.退職金を受け取るまで時間がかかる場合

退職までまだ時間のある場合は、退職金が受け取れる可能性も定かでないため、財産分与の対象となりません。

2-8-4.財産分与の対象になる退職金の範囲

退職金すべてが財産分与の対象になるわけではないことに注意が必要です。

退職金のうち、何割が財産分与の対象になるかは協議次第ではあるのですが、結婚期間、財産分与の割合などから決めることが多いと思います。

例えば、40年働いた夫の退職金が1,000万円、そのうち結婚期間が25年だった場合。

夫婦の共有財産は、1,000万円×25/40年=625万円です。

財産分与が50%の場合、妻が分与される財産は、625万円×50%=312万5千円となります。

2-9.年金はどこまでが財産分与の対象になるのか?

厚生年金、共済年金の部分のうち、結婚期間中に納付した部分のみが財産分与の対象になります。

ただし、年金は加入している年金制度によって仕組みが異なり複雑なため、まずは年金事務所に確認するようにしてください。

年金事務所に「情報通知書」を請求し、通知書の内容を基に夫婦で財産分与の対象となる部分や割合を話し合います。

最終的には「請求すべき按分割合に関する処分(年金分割)」の手続きが必要になると思います。

この辺りは専門的な知識が必要だったり、夫婦間での話し合いがまとまらなかったりというケースも多いので、専門家に任せるようアドバイスしています。

どうして良いか、分からない場合には、LINEからご連絡ください。

対策を回答させて頂きます。

念のため、私たち、アリネットの口コミはこちらのページにまとめてあります。

2-10.1つの家具家財、家電の引き取りを両方が希望した場合はどうするのか?

家具家財、家電などはその時の金銭的価値を出して、分与の割合に応じてそれぞれが欲しいものを引き取るケースが多いと思います。

もし一つの家具家財、家電の引き取りを両方が希望した場合。

どちらか一方が引き取り、引き取った方がその価値に応じて、相手方の財産分与相当の支払いを金銭ですることになります。

例えば10万円の価値がある家財を夫が引き取ることになり、財産分与の割合が50%の場合、妻に5万円の支払いをするということです。

2-11.保険(生命保険、損害保険、自動車保険、学資保険など)はどう財産分与するのか?

結婚期間中に加入した保険で、解約返戻金があるものは、離婚時の財産分与の対象となります。

離婚時に解約し、解約返戻金を財産分与するのが一番シンプルですが、保険の場合そう簡単にはいきません。

なぜなら、下記のようなリスクがあるからです。

  • 解約することで満期で将来的に受け取れるはずだった額よりも少なくなる(価値が下がる)
  • 離婚後再度生命保険に入る場合、保険料が上がる
  • 病歴等により加入条件に引っかかって加入できなくなる

そのため、離婚後も保険契約側が継続して保険加入し、離婚時の解約返戻金の評価額を財産分与の対象として扱います。

2-12.宝くじの当選金や万馬券を換金した場合、財産分与の対象になるのか?

結婚期間中に宝くじや万馬券に当たった場合、基本的には夫婦の共有財産と認められることが多いようです。

それらの原資が、夫婦の協力により築かれたものだから、という考え方が原則になっているからです。

ただ、宝くじの当選金や万馬券の換金については裁判によって判断が分かれています。

例えば、夫が自分の小遣いの中からコツコツと買ってきた宝くじや万馬券が当たった場合、夫の努力が大きいと認められ、財産分与の割合が60%になったという判例もあるようです。

また、独身時代の預貯金を原資に宝くじや万馬券を当てた場合は、財産分与の対象とならない可能性もあります。

とはいえ、結婚期間が長い場合、本人としては独身時代の預貯金が原資と言ってもそれを客観的に区別するのは難しいので、認められないケースも増えてくると思います。

2-13.離婚協議までに別居していた場合、財産分与の対象となるのはどこまでか?

離婚協議までに別居していた場合、基本的に別居期間中に築かれた財産は、財産分与の対象になりません。

別居後は、夫婦が協力して得た財産とは言えないと考えられているからです。

ですので、別居を始めた期日や財産の出入をキチンと記録しておいて欲しいと思います。

3.離婚時の財産分与の例外となる特有財産の対象リスト一覧と注意点

離婚に伴う自宅売却で確定申告は?

夫婦の協力の元に築かれた財産とは言えないものは、財産分与の対象になりません。

このように財産分与の対象とならないものを「特有財産」と言います。

3-1.離婚時の財産分与の例外となる特有財産の対象リスト一覧

財産分与の対象にならない資産の一覧です。

  • 結婚前に取得した財産(預貯金、不動産、株式・債券等の有価証券などすべて)
  • 嫁入り道具
  • 親の遺産、相続した土地、家屋等の不動産
  • その他それぞれの親、親族などから贈与された、または相続した財産(結婚前、結婚後にかかわらない)
  • それぞれが個人的に使用するために取得した身の回り品
  • 別居後に取得した財産
  • 結婚前に作った借金、負債
  • 浪費、ギャンブル等により作った借金、負債

3-2.特有財産でも財産分与の対象となるケース

特有財産であっても、結婚後に夫婦の協力によりその価値が維持されたり、増えたと認められるケースでは、財産分与の対象となることがあります。

例えば、どちらかの親の遺産である不動産を、夫婦で協力して維持管理し賃貸経営したことで、収入や価値が大きく増えた場合などです。

こうしたケースでは、夫婦それぞれの貢献した割合で財産分与される可能性もあります。

4.借金、負債、債務などマイナス財産の財産分与

結婚期間中に借金、負債、債務などマイナス財産を抱えることは多いと思います。

それらのケースについて、よく聞かれることを解説しました。

4-1.借金、負債、債務などマイナス財産は財産分与の対象になるのか?

借金、負債、債務などマイナス財産については、下記の考え方を基に財産分与の対象になるか判断されます。

4-1-1.夫婦が共に生活を送るために生じた借金、負債、債務などは財産分与の対象として考慮される

生活費のための借り入れ、住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどです。

4-1-2.夫婦のどちらかが個人的な理由で作った借金、負債、債務などは財産分与の対象として考慮されない

パチンコ、競馬などのギャンブル費、遊興費などが対象になります。

上記を考慮し、夫婦の共有財産のうち【プラス財産ーマイナス財産=残額が財産分与の対象】となります。

4-2.夫婦どちらかが個人的な理由で作った借金、負債、債務などを他方が返済していた場合はどうするのか?

夫婦どちらかが個人的な理由で作った借金、負債、債務などを、結婚期間中に他方が返済していた場合、返済していた側は借金を作った側に返済を求めることができます。

例えば、夫がギャンブルで作った借金を妻が自らの収入の中から返済していた場合、離婚時に妻は夫に返済した借金の返済を求められるということです。

財産分与や慰謝料と共に清算すべきお金として考慮されます。

この時、借金を返済する財産がない場合は離婚後に返済することになるため、キチンと離婚協議書を作成しておくことが重要です。

4-3.夫婦の一方が生活費の使い込みや浪費をしていたら財産分与はどうするのか?

夫婦の一方が結婚期間中に、生活費の使い込みや浪費をしていたことが明らかな場合は、財産分与の時に考慮される可能性があります。

ただし、どこまでが適切な生活費の使用で、どこからが使い込みや浪費かの判断基準は非常に難しいため、夫婦の話し合いだけでキレイに話がまとまらないことも多いと思います。

できるだけ預貯金の動きを通帳などに残しておく、レシートを集めておく、相手の行動をメモしておくなど客観的な証拠となりえるような物を集めておくのが良いと思います。

5.離婚の原因が浮気、モラハラ、家事をしないなど相手が悪い場合、財産分与で有利になるの?

税務上の特例は?

離婚の原因が相手にある場合、モヤモヤが募って、少しでも財産分与で有利になりたいと思うこともあるかと思います。

ここでは、相手に原因があると認められるケースについて解説します。

5-1.離婚の原因を作った側=有責配偶者

離婚の原因を作った側を「有責配偶者」と言い、有責配偶者側が離婚裁判を起こしても、相手が拒否すれば離婚は認められないという判例が出ています。

有責配偶者が離婚を求め、相手が受け入れれば離婚協議や離婚調停を申し立てることは可能です。

5-2.有責配偶者の定義

有責配偶者の明確な定義はありませんが、一般的に「浮気」「不倫」などの不貞行為を行った側、「DV」をした側が有益配偶者として認められるケースが多いと思います。

状況や程度により一概には言えませんが、モラハラ、働かない夫・妻、家事をしない妻・夫、ギャンブル・浪費・借金なども、有責配偶者と認められる可能性があります。

5-3.有責配偶者よりも多く財産分与してもらえるのか?

気になるのは、有責配偶者よりも多く財産分与してもらえるのか? ということです。

結論から言うと、相手が悪い場合でも財産分与の割合に影響しません。

有責配偶者側も、相手に財産分与を請求する権利があります。

なぜなら、財産分与は結婚生活の間に夫婦2人で築きあげた財産(夫妻)を分け合うという性質のものだからです。

ただし、有責配偶者は「慰謝料」「解決金」「損害賠償金」などという名目で、相手方に支払うことで対応することになります。

結果的に、財産分与と慰謝料等とを明瞭に分けずに金銭のやり取りをすることから、「慰謝料的財産分与」として、表面上、財産分与を多く受け取った形になることがあります。

また夫婦が合意すれば、慰謝料を含んで財産分与の割合を調整することも可能です。

5-4.慰謝料、解決金、損害賠償金に税金はかかるのか?

有責配偶者からの「慰謝料」「解決金」「損害賠償金」は、金額が常識の範囲内であれば基本的に税金を課されません。

しかし、常識を超えて高額な場合は課税対象となる可能性もあるので、十分に気をつけて欲しいと思います。

6.相手が財産分与を拒否する・応じない時どうする? 差し押さえできるの?

離婚で不動産を売却するなら

離婚や財産分与の話し合いがうまくまとまらず、揉めてしまうことは往往にしてあります。

6-1.離婚、財産分与で揉めそうor揉めた場合は早めに弁護士に相談する

離婚、財産分与で揉めそう、実際に揉めた場合は弁護士などの専門家に間に入ってもらうのが、やはり良いです。

弁護士費用はかかりますが、結果的に揉めて長引くことによる金銭的損失、時間的・精神的負担を減らすことができます。

6-2.相手が財産分与の話し合いに応じない、財産隠しや勝手に処分しそうな場合の対策

相手が財産分与の話し合いに応じない、離婚を切り出したら勝手に不動産など共有財産を処分し始めたなどの場合も早急に弁護士に相談し、差し押さえの手続きを取った方が良いです。

できれば、こうなる前に相手の財産状況を調べて、コピーや写真に残すなど証拠を集めつつ、弁護士に相談するのが賢明だと思います。

そして、家庭裁判所に「財産分与請求権」に基づき、「民事保全手続」「調停前の仮の処分」「審判前の保全処分」等の申し立てを行います。

それぞれ特徴があるため、どれが最適かは弁護士に相談してみてください。

申し立てが認められると、共有財産を勝手に売却できないよう保全したり、差し押さえたりすることができます。

7.財産分与の手続きはいつまで? 期限・手続きについて

財産分与の手続きについて、期限や注意点をまとめました。

7-1.手続きの期限、お勧めのタイミング

まず、法律的な面で言うと、財産分与の期限は「離婚が成立してから2年」です。

2年を過ぎると、家庭裁判所に財産分与の申し立てをすることができなくなります。

ただし、財産隠し等があった場合は、財産分与ではなく損害賠償として請求することが可能です。

2年の時間があるとはいえ、離婚に至ったということは、2人の間にそれなりに大きな問題があったということです。

離婚後は連絡がキチンとつかない、連絡を取りたくない、取れなくなったというケースも少なくありません。

そのため、離婚後に財産分与を行おうとしてもスムーズに行かない可能性が高くなります。

アリネットに相談に来られる方には、離婚が成立するまでに財産分与の話をまとめ、公正証書に残しておくよういつもアドバイスしています。

7-2.財産分与の申し立て手続きの方法

財産分与の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に財産分与の申し立て手続きを行うことになります。

7-2-1.財産分与の申し立て手続きの必要書類

財産分与の申し立て手続きに必要な書類は以下の通りです。

・申立書及びその写し1通

・標準的な申立添付書類:離婚時の夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、夫婦の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,固定資産評価証明書,預貯金通帳写し又は残高証明書等)

引用:裁判所ウェブサイト

その他、必要書類があるケースがあるので、弁護士や裁判所に相談してみてください。

申立書の記載例はこちらのページです。

7-2-2.財産分与の申し立て費用

財産分与の申し立て費用は、収入印紙1,200円分です。

あとは家庭裁判所から送られてくる書類を郵送するための郵送料が必要になります。

ただ、金額は裁判所によるため、申し立てる家庭裁判所に確認しておきます。

7-2-3.家庭裁判所の調停ではどのように財産分与が決められるのか?

家庭裁判所の調停では、財産に関して双方への聞き取り、資料の確認などをします。

そしてそれらの財産を得たり維持する過程で、どちらがどの程度貢献してきたかを判断し、助言等を行います。

それでも話し合いがまとまらない場合は一旦調停は不成立となり、審判手続きに入り審理が行われることになります。

ただ過去のケースでは、共働きであれ、一方が専業主婦・主夫であれ、2分の1の割合で財産分与を行うよう、審判が下されるケースが多いようです。

8.離婚時の財産分与で持ち家・マンションなど住宅、不動産はどうする?

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離婚時の財産分与で一番問題になりやすいのが、家、不動産です。

なぜなら、現金や預貯金、家具家財・家電などのように簡単に分けられないからです。

さらに家の場合は、住宅ローン返済中というケースも多く、問題をより複雑にします。

住宅ローンの有無、オーバーローンなのかアンダーローンなのか、住み続けるのかどうかなどで、対策は大きく変わってきます。

そこで過去実際にあった事例などを元に、パターンを下記にまとめましたので、参考にしていただければ嬉しいです。

その他、離婚の財産分与でよく相談する内容について、下記にまとめました。

8-1.住宅ローン返済中の離婚の財産分与で住宅に関する基本的な考え方

住宅ローン返済中の離婚の財産分与で住宅に関する基本的な考え方として、オーバーローン状態であれば売却できないと思ってください。

オーバーローンとは「住宅ローン残高>不動産の売却価格」となることです。

住宅を売却しても住宅ローン(借金)が残ってしまうため、債権者(主に銀行などの金融機関)が売却を許してくれません。

このようにオーバーローン状態では離婚時に財産分与対象として精算ができないため、「離婚後も住宅ローンの返済を行い、オーバーローンが解消した時に売却する」という取り決めを夫婦で行っておくことが重要です。

一般的に住宅ローンの返済は長期間に及ぶことが多く、金額も大きく、トラブルに発展しやすいため、公正証書を残しておいて欲しいと思います。

8-2.離婚時にスッキリ精算し財産分与するには任意売却を検討する

離婚時にキッチリと精算しておきたい、家に住まない、離婚後も住宅ローンの返済を続けるのが難しい場合には、住宅の任意売却も検討材料の一つです。

任意売却とは、債権者の同意を得た上で、住宅ローンの残った住宅を売却することを言います。

元々オーバーローン状態で住宅ローンを組んでいたり、住宅ローンの返済期間が短かったり、不動産の価値が下がっていたりすると、任意売却後も残債が残ることになります。

それを債権者との話し合いで、返済を続けることを条件に、売却の許可を得るのです。

アリネットでもこの手の任意売却を多く行ってきましたが、毎月の返済額が15万円から2万円に減ったなど、返済負担を軽くすることができるケースがほとんどです。

それにより、離婚後の生活を早く立て直すことができます。

ただし、任意売却を行うといわゆるブラック状態となるため、任意売却によるリスクをよく調べ、考えておいて欲しいです。

とはいえ、30代・40代など若い場合は、任意売却を行ってもコツコツ返済を続ければ、十分に立て直すことができるので、状況に応じて検討してみてください。

8-3.住宅、不動産の財産分与による税金、確定申告について

住宅、不動産を財産分与した場合、かかる税金、確定申告の必要性の有無はケースバイケースなので、税務署や税理士に相談した方が良いと思います。

離婚の財産分与に伴う、マイホームの軽減税率の特例、3,000万円特別控除、譲渡所得税、贈与税、印紙税、登録免許税、消費税等については下記の記事にまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。

なお、財産分与に伴って不動産を譲り受けた場合、原則不動産取得税はかかりません。

8-4.住宅・不動産の財産分与は早めに準備、専門家に相談を

ここまで解説してきたように、住宅・不動産等の財産分与は、関係者が多く、金額も大きく、対応に時間やお金がかかるケースも少なくありません。

法律面や契約も複雑です。

例えば、財産分与で住宅ローン返済中の住宅を、債権者の許可を得ずに夫名義から妻名義に変えてしまうと、ローン契約違反になります。

悪気がなくても、うっかり重大な契約違反等を起こしかねないので、専門家に相談してください。

相談できる専門家がいない、どこから手をつけたら良いかわからないという場合には、アリネットに相談してくださっても構いません。

その他、親名義の家、共同名義の家、連帯保証人の変更、名義変更のトラブル事例など、財産分与時の住宅にまつわる事例、対策等を下記の記事でまとめていますので、参考にしてください。

どうして良いか、分からない場合には、LINEからご連絡ください。

対策を回答させて頂きます。

念のため、私たち、アリネットの口コミはこちらのページにまとめてあります。

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相樂 喜一郎

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相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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