こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている住宅ローンアドバイザー兼宅地建物取引士の大和田です。
2022年4月、岩手県奥州市にお住いの40代の男性から離婚に伴うご自宅の処分について、相談を受けた話をしました。
離婚時の財産分与・・・。
離婚は車や自宅などさまざまな資産を売却対象として、検討していくことになります。
あまり意識されませんが、借地料(地代)を支払って利用していた物件の売却を検討するか、迷う方もいます。
このページでは、記述の相談のあった事例を基に離婚の際、借地権付きの不動産売却を行いたい方向けに売却の流れや注意点を解説していきます。
私たちは、2012年以降、事例を基に600件を超える住まいのお悩みに対応してきました。
現在、離婚が原因でご自宅だけでなく、以前の生活をどう取り戻すか、お悩みの方、ぜひ参考にしてください。
1.離婚による不動産売却での借地権とは?
まず、借地権がどのようなものかをご説明します。
1-1.借地権とは
1-1-1.借地権とは?
土地代を支払って地主(土地の持ち主)から土地を借り、使用する権利のことです。
1-1-2.借地権の売買とは?
この権利を土地上の建物とともに売買することで、
1-1-3.借地権付きの土地売買とは?
誰かが借地権を行使している土地(底地権)を地主が売買することです。
この記事では前者の借地権の売買をおこなうことについて、取り上げていきます。
この借地権の内容は借地借家法(または旧借地法)によって定められており、主に建物の所有を目的とする場合が対象となります。
1-1-4.地主とは
念のため、底地権を持つ土地の貸主のことで、借地権を持つ土地の借主のことを借地人といいます。
つまり、この記事では借地権と建物を売買する借地人の方を対象にお話を進めます。
1-2.離婚の際に考えられるパターン
離婚の際、売却を含め、処分を決めないといけないのが、結婚後に購入した物がある場合です。
財産分与の対象として、売却の必要性が出てきます。
しかし、相続財産などの場合、法的には財産分与の対象外となります。
そのため、慰謝料や扶養的ケースなど、財産分与の状況によっては売却を検討することになります。
また、借地の上にある建物が店舗やアパートなど、賃貸物件として貸し出している場合は売却せず、そのまま収益を得て、養育費の原資にするなども選択肢になります。
ご存じの通り、借地権に限らず、土地・建物のまま財産分与をおこなうと、高額で売れたときなどに譲渡所得税や贈与税が課税される場合があります。
あまり知られていませんが、財産分与の対象でない夫婦一方の固有財産を土地建物のまま、財産分与すると、税務署への詳細な説明や許可が必要になる場合があります。
そのため、トラブルにならない様、離婚を機に売却を検討するのもおすすめです。
1-3.借地権の種類と更新
借地権には以下のようにいくつかの種類があり、取り扱いが異なります。
- 現行借地権(普通借地権と定期借地権)
- 旧法借地権
平成4年8月に借地借家法が改正され、あらたに定期借地権が追加されました。
1-3-1.この定期借地権とは?
契約期限以降の更新ができないのもので、最初に定めた期間以降も賃貸借を続けたい場合、地主との合意の元、再契約が必要です。
一般的には定期借地権の存続する期間は50年以上とされています。
現行法の普通借地権では更新がされない場合、建物買取請求権が行使できます。
1-3-2.建物買取請求権とは?
地主に借地に建っている建物の買い取ってもらうよう請求する権利です。
旧法借地権に関しては、存続期間や更新する年数に違いはあるものの、契約の更新に関して借地人の意思をさまたげるような要素はありません。
借地借家法には、借地人の居住権保護の意図が強く働くため、地主からの更新拒絶が極めて難しく、正当事由を備えても、裁判でも認められない場合がほとんどのためです。
そのため、契約が平成4年8月以降かどうかと、定期借地権でないかどうかを絶対に確認するようにして下さい。
2.離婚による不動産売却で借地権の売買はできる?
では、実際に売買をするのは、どのようなことなのでしょうか?
2-1.借地権の売買は可能
『借りているものを売ってしまうなんて・・・』と思えます。
ただ、借地権で建っている建物を権利ごと売買することは結構一般的にある事です。
売買が可能な理由は、借地となっている土地や建物の活用を促進するためなのですが、借地上の建物を建て直したりすることもできます。
ただし、そのためには地主の承諾を得たり、地主に慣例として承諾料を支払います。
地主に借地権売買の承諾を得られない場合、非訟事件(ひしょうじけん)という簡易的な裁定を、裁判所に依頼することもできます。
2-2.借地権売買のメリット
借地権の不動産を売却する場合、借地権付き建物の強み(売りやすさ)は以下の通りです。
- 所有権に比べ、お手ごろな価格(流動性が高い)
- 買主は土地の税金が課税されない
- 契約更新をすれば、半永久的に土地を利用できる
以上はいずれも買主のメリットで、つまり借地権の物件の商品力です。
借地権付き物件は、所有権でなければ嫌だという買主以外にはメリットの高い買い物だと思います。
実際、奥州市の物件も価格が下がってくると共に借地権付き建物であっても問い合わせが多く、結果的に近くにお住いの方が満額で購入する事になりました。
固定資産税や都市計画税は地主の支払いですし、定期借地権でなければ、土地は文字通り半永久的な使用が可能です。
しかも、最初の契約時に設定された借地料はそのまま踏襲されるため、安価なままなことが多いのです。
2-3.借地権売買のデメリット
つづいて、借地権の不動産売却時に不利なデメリットは以下です。
- 買主は毎月、地代(借地料)を支払う必要がある
- 建物の改装や利用形態の変更、建て替えに地主の承諾が必要
- 担保としての価値が低く、銀行のローン審査が下りにくい
これまでと同じで、新しい借地権者も安くとも、毎月地代を払い続ける必要があります。
また、借りている土地ですので、建物の改修などで常に地主との交渉が必要になります。
そして、これが一番難しい点ですが、買主が住宅ローンを組むうえで、『借地権付き建物の売買については所有権付きと比較して、銀行の審査を通りづらい、もしくは融資額が低い』です。
そのため、買主は現金での売買か、金利が高く、融資上限額の低いフリーローンや、フラット35を利用する必要があります。
なお、岩手県奥州市の場合、買主は頭金に加え、親族からの借入を行い、購入しました。
>>念のため、離婚でご自宅の売却を考えた時、どのような会社にお願いするべきか?やっぱり、先ずは弁護士なのか?をまとめています。
3.離婚で借地権の不動産を売却する際の注意点
ここから実際の借地権の不動産売却時の方法や注意点を見ていきます。
3-1.借地権売却の方法
借地権の不動産売却は、以下の方法があります。
- 借地権を第三者に売却する
- 借地権を地主に売却する
- 所有権にして第三者に売却する
- 地主とともに借地権と底地権をセットで第三者に売却する
3-1ー1.借地権を地主に売却する
借地権と、地主の持つ底地権をセットにできれば所有権となり、通常の相場の不動産売却ができます。
もっとも一般的なのは、借地権だけで第三者へ売却する方法ですが、ほかにも上記のような方法で、高く売る工夫をすることができるのです。
地主と合意できれば、借地権を地主に買ってもらう方法は本当に有効です。
というのも、地主は土地の所有権がもどって資産価値が上がるため、借地人はほかの第三者に売るよりも高く売ることができるからです。
また、一般的に借地人が借地権を売却する際、地主には優先的に借地権を買い取る権利がそなわっています。
3-1ー2.所有権にして第三者に売却する
逆に、所有権にして第三者に売却する方法は、借地権と地主の持っている底地権を等価交換し、所有権を得て売却をおこなう方法です。
しかし、これは地主としては、予算があれば自分が借地権を買取る方を望む公算が強いです。
3-1ー3.地主とともに借地権と底地権をセットで第三者に売却する
そして、地主と協力して借地権と底地権をセットで売り出す方法ですが、いずれの方法も地主への説得、承諾が必要となります。
3-2.借地権売却の際の注意点
まず大事な注意点は『売却をおこなうか、どうかの決断』です。
以下の点をもとに検討して下さい。
- 離婚の財産分与の内容
- 慰謝料や養育費の取り決め
- 住宅ローンの支払いの残りの有無
- 離婚後の新居をどうするか
これらの要素をもとにした売却の判断は、弊社のサポートを核として、必要に応じ、専門分野の士業をご紹介しています。
また、イメージできると思いますが、売却にあたって、地主との交渉も売却の成否を分ける注意点となります。
『どのようにするのが、お互いに実利的なメリットが大きいか』の話し合いが望まれます。
なお、借地権を売買する際、地主へ支払う承諾料の相場は、法律上の定めはありません。
これまでの経験だと、借地権価格の10%程度を支払うのが一般的だと思います。
>>不動産会社にご自宅の売却を依頼するのが一般的ですが、本当に急いでいる時は買取も相談できます。その辺り、こちらにまとめておきました。
ただ、私たちは価格が低くなってしまう為、買取には消極的です。
その為、上位3社の不動産会社による買取入札をご相談頂いた方には提案しています。
4.離婚による借地権付き建物の売却まとめ
離婚の際に借地権の不動産売却をおこないたい方向けに不動産売却の流れや注意点を解説しました。
4-1.離婚に伴う家の売却は一般的な会社では分かりません。
そもそも、離婚に伴う不動産売却の扱いは一般的な不動産会社では自宅のみの売却しか分からず、協議書の作成からご家族の引っ越しのスケジュール等の調整をやったことがない、もしくは出来ないケースが多々あります。
さらに、離婚はお子様の学校も関係する繊細な問題なうえ、専門的な知識を必要とします。
そのため、離婚問題に強い不動産会社を選ぶとスムーズに進めることができると思います。少なくとも、担当者にその経験がないと、時間だけが経ってしまい、円満解決は難しいと思います。
各社の無料相談などを上手に使い、その力量を図り、進めるようにして下さい。
なお、私たち、「アリネット」も、東京23区を中心に首都圏の1都3県で離婚でお悩みの方の相談を無料でお受けしています。
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4-2.離婚に負けないチェックポイント
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