住まいのトラブルを効率的に解消する、管理会社や弁護士に相談する前に行う3つ

1.質問(トラブルや問題)

一棟マンション(1R*12戸)を買主側の売買仲介を担当しまして
2021年1月8日に引渡しが完了したばかりです。

引渡しに後すぐその日に、保証会社から賃借人(生活保護受給者)が
連絡が取れないので部屋の鍵を貸してほしいとの連絡がありました。

鍵は新しい管理会社に渡す予定だったので新しい管理会社の連絡先を
教えました。新しい管理会社に事情を連絡したら時間があるので
現地に御尋ねしたところ部屋で死亡が確認されたようです。
新管理人さんが確認した訳ではなく、外で腐敗の匂いがしたので
警察を呼んで確認しました。
遺体は警察のほうが引取りました。
現在は、事件か自然死なのか警察のほうで調べ中です。

保証会社の話だと、
11月10日、家賃の事で賃借人と電話での連絡が取れたそうです。
12月10日、また家賃の事で電話したのですが電話が繋がらなかったようです。
12月18日オートロックの番号を前の管理会社に教えてもらって現地訪問したの
ですが、何の反応がなかったようです。
12月23日夜に前の管理会社が現地訪問したのですが、電気が ついた事は確認したのですが、 何の反応がなかったようです。

総合的に判断して損害賠償請求か代金減額請求を
ご検討したいと考えています。

その際に、売主宛てに請求書をご作成頂けるのでしょうか?
可能であれば費用も教えて頂けれと幸いです。

弁護士の方に意見書(請求金額査定)作成を
お願いしたいのですが 意見書作成費用に
ついて教えて頂けることは可能ですか。

・売買金額:113,000,000円
・1R×12戸
・物件の引き渡し日:1月8日

・入居者:40代後半の生活保護受給者
・死亡原因は不明(腐敗が進んでおり判明が難しい)
・死亡時期:およそ12月上旬
・発見時期:1月10日
・発見者:新オーナーの管理人

・11/10日頃:保証会社からお電話で家賃の事で連絡あり
・12/10日頃:保証会社からお電話しましたが、繋がらなない
・12/18日頃:前の管理会社から訪問(返事がない)
・12/23日頃:前の管理会社から訪問( 返事がない)
・1/8 日:生活保護受給者のため、区役所の福祉の方が訪問 (返事がない)
・1/10日:新管理会社が訪問して匂いがしたので警察に連絡して発見

ちなみに、発見当時はドアが開いてる状況だったそうです。

以上、宜しくお願い申し上げます。

2.銀行、弁護士、その他の回答

都庁(対策や注意点を確認する)
賃貸ホットラインの電話:03-5320-4958(9時から17時半まで)

売買、重要事項説明書に関しての電話:03-5320-5071宅建協会(対策や注意点を確認する)10-15時
電話相談:03-5276-3110  ※会員専用の為、
リビングインの宅建登録番号の第96307号を伝える”

3.リビングインの回答

説明責任と瑕疵担保責任があり、説明責任は売主が知らなかった場合、責任を負う必要がありません。一方、瑕疵担保責任は売主が知らなかった場合でも責任を負う必要があり、白紙撤回又は損害賠償が請求できます。

まず、契約の白紙撤回で掛かった費用を全て売主が負担して、元の状態に戻すことが出来ます。次に、損害賠償は事故発生後の原状回復や発生に伴う心理的瑕疵の影響を踏まえた売買代金の減額などがあります。

この辺り、実際の見積もりを基に意見書を作成し、交渉していく事になります。

本件、既に引渡や決済が終わっており、売主や元付に落ち度はないため、説明義務違反の責任は負わないものの、売主の瑕疵担保責任は無過失責任の為、売主に落ち度がなかったとしても、瑕疵担保責任の問題が残ります。結果的に、当該部分に関して、損害賠償の請求をする事が出来ると思います。

損害賠償金額は以下の通りで、債権法改正前は講学上「信頼利益」に限られるとされ、つまりこの取引のために支出した費用などに限られるとされていました。しかし、債権法改正後は講学上「履行利益」に拡大され、つまり、実際にこの取引をしていれば、得られたであろう利益の部分まで請求できるようになっています。参照はこちら。
https://www.kuboi-law.gr.jp/sys/columns/detail/108

ただ、現実問題として「実際にこの取引をしていれば得られたであろう利益」を証明するのは困難であるため、まずはこの取引のために費やした費用が最低限のラインということになるのではないかと思います。12戸中1戸でも、白紙撤回も含め、検討できそうです。そうなると、手数料が入らないので、損害賠償請求にするのが良いと思います。

参考判例は、平成25年11月7日の松山地裁、判時2236号101頁です。

以上です。参考になれば、幸いです。

頂いたご相談は社内で共有し、48時間以内に回答いたします。必要な場合には、弁護士や建築士などの専門家と相談し、連絡いたします。

なお、相談は無料です。費用が発生する場合には、事前に必ずご連絡いたします。

あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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