大島てるだけじゃない、不動産会社が知っている「事故物件」の調べ方

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の管理や住まいのトラブル解消を担当している不動産鑑定士補兼管理業務主任者の相樂です。

私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計6,700人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

念のため、まだ案の段階で、これから本決まりですが、告知義務の有無の基準に関して、国土交通省が先日出したガイドラインを弁護士さんと話し合いました。こちらのページにまとめておきました。

今回は同じく宅地建物取引士兼防犯設備士の馬場と一緒に引っ越しの失敗やトラブルについての回答の中から、担当から聞かされていないと後悔している方が多かった事故物件について、実際に知っているのは誰なのか?について、最新の判例を基に対策を考えました。

>>実際に事故物件に遭った3名の方にヒアリングを行いました。告知義務やその対策、隣で事故が起きてしまった時などまとめたページはこちらです。

0.はじめに

事故物件を調べるマップで有名な『大島てる』。日々多くの人が見ているだけでなく、事故や事件が起きた当日中に書き込まれることも少なくありません。いかに多くの人が事故物件という存在を気にし、事故物件を調べる手段の一つとして‟大島てる”を頼っているかが分かります。

でも、このサイトは誰でも書き込みができるため、情報の出元が怪しいことが多々あります。

実際に以前、江戸川区小岩の方で階段から落ちて、足をくじいただけなのに、「飛び降り自殺」と書かれていたことがありました。警察や元管理会社に当時の状況を確認し、証拠を集め、大島てるに直接、連絡し、数カ月してから修正してもらいました。

というのも、一度「事故物件」と認識されれば、物件としての資産価値は落ち、借り手がつかない、賃料を下げざるを得ないなど、物件のオーナーにとって損害は計り知れません。また、住人にとっても色眼鏡で見られたり、あらぬ噂の対象となったりすると、決して気持ちのいいものではないと思います。

もちろん、借り手にとっても、不正確な情報で本来いい物件のはずだったものを見逃すのはもったいないです。そこで、この記事では事故物件についてその判断材料となる「告知事項」や情報の得方などを、管理会社として日々経験する中から解説します。

1.大島てるだけじゃない、事故物件は誰が一番知っているか?

一般の人が事故物件を調べるのに最も手軽で、お金もかからない手段が『大島てる』です。一方で、事件・事故の真相を知らないまま書き込む人、面白半分で書き込む人も多いのでサイトに書かれていることをそのまま鵜呑みにするのは危険だと思います。

そのため、まずは事故物件にまつわる「告知事項あり」、「孤独死」といった言葉の定義や情報について事実や現実的な話を知るのが大切だと思います。

1-1.事故物件を見極める「告知事項あり」について

まず、ネットや不動産会社で部屋探しをしたり、『大島てる』で事故物件かどうかを確認したりしていると出てくる言葉に「告知事項」というのがあります。ちなみに、スーモ関東版の「告知事項あり」で検索してみると、写真の通り、3,000件近くヒットしました(執筆時点)。

1-1-1.告知事項ありとは、どういう意味か?

「告知事項あり」とは不動産会社に課せられる義務です。宅地建物取引業法によって定められています。どのような義務かと言うと「物件に心理的な瑕疵や欠陥がある場合、借主や買主に対して、その事実を知らせ、説明しなければならない」という内容です。この辺りは以前、弁護士の方に説明してもらいました。

「欠陥」については、地震や火災で建物の一部が傷ついている、洪水で浸水し腐食している部分がある、などわかりやすいですが、問題は「心理的な瑕疵」という所です。「心理的な瑕疵」の具体的な内容が法律で決められている訳ではなく、一般的に「人が気にしそうだ」と思うことが対象になっており、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 殺人事件の現場になった
  • 変死体が見つかった
  • 自殺があった
  • 事故で人が亡くなった

1-1-2.「心理的瑕疵物件」、「特別募集住宅」と呼ばれることも

告知事項ありの事故物件について、「心理的瑕疵物件」、「特別募集住宅」と呼ばれることもあります。「心理的瑕疵物件」は「心理的に気になることがある物件」という意味なので、建物そのものの欠陥も含まれる「告知事項あり」物件と比べて、より具体的な内容になります。

あまり知られていないので、分からずに入居してしまう人も多い、「特別募集住宅」はUR都市機構の賃貸住宅の建物内で人が亡くなった場合に呼ばれる名称でこちらも『人が亡くなっている』ことが示唆されます。

1-2.「告知事項あり」の注意点

チラシやネットで「告知事項あり」物件を見つけた時の注意点はその内容がハッキリしないということです。

具体的な告知事項の内容は仲介の不動産会社に問い合わせて確認するしかありません。そして、問い合わせても、不動産会社や担当者によっては契約してもらうため、キチンと説明せず、なんとなくウヤムヤにされるケースもあります。

告知事項をそんなに気にしないから、「いいんじゃない」と思うかもしれません。

しかし、こういうキチンと説明をしない不動産会社や担当者は別のシーンでもキチンとしてくれない可能性があります。ですので、問い合わせ対応で誠実さに欠けると感じたなら、契約しない方がいいと僕は思っています。

1-3.「告知事項あり」で抜け落ちている3つの重要ポイント

宅地建物取引業法によって「告知事項あり」物件を説明する義務が不動産会社に課せられていると言いましたが安心しきれません。というのも、借主(買主)側からすると、重要なことが抜け落ちているからです。

1-3-1.告知の内容が定められていない

告知すべき期間や内容が明確に定められていないということです。事故や事件が起きてから、いつまで告知しないといけない、事故や事件の内容をどの程度まで詳しく説明しないといけない、というのが決められていません。

事件や事故から10年、20年経って、その間に別の人が住んでいても、キレイにリノベーションされていても、事故物件ならば避けたいという人もいると思います。しかし不動産会社によってはキチンと説明してくれない可能性もあります。

また、一人暮らしでいつの間にか亡くなっていて、管理人や警察などによって発見されたという場合。それが数日後なのか、数ヶ月経ってからなのかで、状況や心象は違うと感じる人もいると思います。この辺りも法律等で明確に決められていないということを覚えておいてください。

1-3-2.セコイ方法で「告知事項あり」の記載を消去

事故物件は「告知事項あり」と記載し、説明する義務が不動産会社に課せられていると言いました。しかし、「一度誰かが住めば、以降は告知しなくて良い」という業界の不文律みたいなものが、ほんの少し前まで横行していました。

ちょっと前にも、麻布十番のマンションで、『前のテナントは3カ月間倉庫として、利用し、退去した』と不動産屋が言っていた。「なんでそんなに短い間なのか」と更に聞いたら、怒って教えてくれなかった・・・、どうしたら良いか?と相談がありました。

女性の方などは担当に押されると、このように引いてしまうことが多いようです。

他にも、不動産会社によっては自社の従業員を短期間、事故物件に住まわせ、告知せずに賃貸や売却を募集するといったこともありました。ただし、こうしたセコイ手法もインターネットの発達などで一般の消費者に知られるようになり、今は減っています。

不動産会社としても、今はSNSで悪い噂が立つ方が不利益というのは分かっているので、このようなケースは少なくなっていると思います。しかし、内見や契約前にはこの辺り、マンション名や不動産屋の名前をネットで検索し、トラブルがないかなどを注意してほしいと思います。

1-3-3.ストーカー、隣人、環境には適用されない

「告知事項あり」は、事件化や事故として取り扱われた物件が対象で、事件化までしていないトラブルは含まれていません。例えば、下記のような、生活にマイナスのことがあっても、不動産会社自らが知らせる必要はないのです。

  • 空き巣が多い
  • 住人がストーカーに悩まされて引っ越した
  • 変わった隣人がいる
  • 上階の人が騒音で嫌がらせをして、下階の人が引っ越した
  • 近くに高速道路があって夜うるさい
  • 風向きによって工場の煤煙(ばいえん)が飛んでくる

こちらから聞けば教えてくれるかもしれません。しかし、どこまで真実を話してくれるかわかりませんし、不動産会社がその土地に詳しくない場合や、熱意がなければ、知らない可能性もあります。

日々の生活の快適さを考えると、場合によっては事故物件よりも上記のケースの方が重要なので気をつけてください。

2.事故物件の原因になる孤独死について

事故物件になる原因として最近増えているのが孤独死です。孤独死とは読んで字のごとく、一人で看取られることなく部屋で亡くなったケースを指します。

2-1.孤独死の問題点

孤独死の問題は、単身者の場合で往往にして発見されるまでに時間がかかることです。特に夏場など、発見までに時間がかかったり、暑かったり、湿度が高かったりすると、ご遺体の腐敗が進み、床や壁にシミやニオイが残ります。もちろん、次に貸し出す前には特殊清掃やリノベーションなどを行います。それでも、気にする人も多いと思います。

さらに、孤独死の場合、事件性の有無を警察が捜査したり、何かと部屋への出入りも多くなったりするため、近所の人の目につくところとなり、『大島てる』に掲載されやすくなります。

特に、分譲マンションより、賃貸マンションではその傾向が強く、サイトへの記載が増えるようです。分譲マンションの場合、投稿すると自身の資産価値が下がってしまうため、その辺り理解している場合、投稿しません。

一方、賃貸マンション、特に単身者は上記の通り、問題が発生した際、周りの人やマンション内の人が掲載する傾向が強いです。単身者の場合、嫌なら引っ越せばいいだけなので、その辺りの障害が低いと思います。

2-2.孤独死は誰が一番に知るのか?

孤独死を一番に知るのは親族、管理人、オーナー、警察など様々なパターンがあります。ただ、孤独死するケースでは大抵、親族も含め、住人と親しい人と連絡が取れないことが多いです。その結果、警察と現地立会の下、破錠して室内に入ることになります。

実際、破錠する前に腐乱臭が扉から漏れているケースが多く、カギ師の方は分かると言っていました。例えば、身寄りのない孤独死の場合、以下の流れになりやすいです。

  1. 連絡がつかず、身寄りもないため、カギ師を呼ぶ。
  2. 警察、管理会社、家賃保証会社などの立会いのもと、カギ師が鍵を開ける。
  3. 部屋のオーナーや保険会社が連絡を受ける。
  4. 事故発生時に搬送されるところを同じマンションの住人や近隣、たまたま居合わせた人が見る。
  5. 新聞屋等エリアで動いている業者が親族からの解約などで知る。
  6. 『大島てる』などのサイトに事故物件として掲載されることがある。

当たり前ですが、部屋のオーナーや立ち会った関係者がネット上に情報を上げることはほぼありません。したがって、近所の人やたまたま居合わせた人が見た雰囲気、噂などでインターネットに書き込まれ、真意不明の情報も紛れ込む、ということになります。

一般的に、交番あたりから警察官が来て、開錠後に雰囲気を見て、救急車を呼びます。もし、亡くなっている場合には救急車ではなく、回収車が来ます。車の上に換気のファンがついているので見れば分かります。

つまり、その車が止まっている場合、近くで遺体の処置をしている可能性が高いです。ご遺体だけでなく、その周りの物、そして、それらをふき取ったタオルなどを全て、袋に入れて、持ち去ります。

ちなみに、警察署や交番で聞きましたが、「弁護士さんに開示請求書を作ってもらって」と一蹴されました・・・。事件が小さい場合には通報があっても、記録がなく、現状処理や解決したものとして、扱うケースが多く、警視庁の方までデータが残らないそうです。わざわざ、事故紹介の手続きなどしている暇ないですよね。

2-3.事故物件の情報が集まる不動産管理会社

前章で説明した通り、賃貸の部屋で何かあれば不動産管理会社に必ず連絡が入ります。よって、不動産管理会社には事故物件の情報が否応なしに集まってきます。

一方で、不動産の管理をせず、紹介を専門にしている駅前等の不動産仲介会社の場合、オーナーや管理会社が事故情報を提供しなければ、全く分かりません。

ですので、個人的には、事故物件のより正確な情報を手に入れ、ともかく、事故物件を避けたいなら、紹介専門の不動産仲介会社ではなく、不動産の管理も紹介もしている不動産会社に部屋探しも依頼した方がいいと思います。

なお、事故物件の情報については自分でも警察に確認することはできます。しかし、既に述べたように事件、事故として処理された情報提供が無ければ、警察にはわかりません。大抵は告知事項なしで募集・紹介し、『事故物件ではない』とされているので、注意が必要です。

2-4.国土交通省による指針案の発表

国土交通省は入居者が死亡した「事故物件」について、不動産業者が売買、賃貸の契約者に告知すべき対象をまとめた初めての指針案が発表されています。

この内容として、病気や老衰、転倒事故による死亡は告知の対象外になることと、殺人や自殺、火災による死亡は告知すべきだとしているが、賃貸物件は事故発生から3年が経過すると告知事項として取り扱わなくてもいいということで明記されています。

今までは宅地建物取引業法で告知の必要はあっても、明確なルールまで定められていなかったため、詳細は不動産業者に任せられていました。グレーゾーンであったがために、入居後に事故物件だと分かることで裁判沙汰になるケースも多くありました。対象の場所として、アパートマンションや一戸建ての住宅で、居室、ベランダ、廊下や共用部分も含まれており、入居者以外が死亡した場合にも対象となっています。

細かく見ると、病気や老衰での自然死、入浴中の転倒や食事中に喉を詰まらせて死亡するといった不慮の事故と呼ばれるものは告げる必要がないとされています。老衰による自然死ではあるが、死者が長期間放置されて特殊な清掃を行った場合は告知の対象となります。

1つだけ気になることが、隣人が自殺した場合、告知義務は検討の段階で、今回の指針案には明記されていないため、少し怖い気もしますよね。あとは前面の道路で死亡事故が遭った場合にも告知事項としては言われないため、どうしても気になる方は前述の“大島てる”などのサイトを活用して確認する必要があります。検討中ということなので、今後いい方向に改善されることを願っています。

3.飛び降り自殺や事件性のある物件情報はどのように知られるのか?

飛び降り自殺や事件性のある物件情報は、下記のような流れで知られることになります。

  1. 警察
  2. 同じマンションの住人や近隣、たまたま居合わせた人。
  3. 管理会社
  4. オーナー、保証会社、保険会社等

まずは警察が駆け、その騒ぎに近隣住民やたまたま居合わせた人が気づきます。そして、警察から管理会社に連絡が行き、管理会社から物件のオーナーや保証会社、保険会社の順に連絡が回ります。またニュースがきっかけで載ることもあります。最近だと、こんなニュースもありました。

大阪市住吉区の一戸建てで民泊を行っている事業者が、この住宅で遺体を一時的に預かり、近隣住民からの苦情が市に寄せられていることが12日、分かった。

区の聞き取りに対し、事業者は「コロナで民泊が厳しくなり、遺体を月2、3体預かるようになった」と説明しているという。(中略)区が今月9日に電話で聞き取りをしたところ、事業者は「住宅が売れるまで遺体の預かりは続けたい」と話したという。

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6387550

近隣住民からの苦情で発覚したそうですが、周辺の住民やこの後知らずに入居する方はたまったものではありません。ちなみに、大阪市によると、遺体の一時預かりを規制する法律や条例などはないらしく、この手のトラブルは他でも起こっている可能性があります。

4.大島てるに書き込む人は?

『大島てる』への書き込みは、すでに説明したように事件や事故に気づいた近隣住民やたまたま居合わせた人、ニュースで知った人によって行われることが多いです。基本的には地域やマンションにゆかりの無い人です。

一方で、一般的に、同じマンションの住人は書き込みません。なぜなら、自分のマンションの資産価値が落ちたり、噂の的になったりするなど、自分に不利なことが多いからです。

よって、分譲マンションや住宅街の事故物件情報は載っていないことも多く、賃貸マンション、特に単身者用は書き込まれやすい傾向にあります。

ファミリー向け分譲マンションはみな自身のマンションが事故物件になると価値が下がるので、秘密が漏れにくい、住宅街にある20世帯以下のマンションなどは、みんな黙っているケースが多いです。パトカーや救急車、事故回収車が来ても無視する…自身の身を守るため、そんな暗黙の了解があります。

一方、単身者向けの分譲マンションは投資用が多く、単身者の孤独死や自殺があってもオーナーが住んでいない、賃貸で住んでいる人が多く、書き込みが盛んにおこなわれるケースがあります。書き込みはオーナー的にはやめてほしいと思いますが、事実を正しく残し、事故物件に誤って住まいないために必要な作業だと思います。

5.事故物件であるかどうか、知るには?

このように正確な情報がわかりづらい事故物件情報ですが、情報を正しく知るにはどのようにしたら良いでしょうか?

5-1.警察に関して

購入前提の検討者や管理会社が連絡しないと教えてくれないことも多いです。

5-2.カギ師に関して

管理会社以外付き合いがないことが多いので、契約前に連絡先はわかりません。

5-3.保証会社や保険会社に関して

どう連絡して良いか分からないと思います。

となると、住人に聞き込み?となるのですが、特に都心部では現実的ではないです。やはり、『大島てる』のようなサイトを見るか、管理会社に聞くしかありません。募集要項を見て、管理会社に直接連絡するか、不動産仲介会社に連絡先を訊ねるか、です。

賃貸や売買契約の際、告知義務があり、知っていることを伝える説明責任と知っていなくても責任を取らないといけない、瑕疵担保責任の二つがあり、この辺りはケースバイケースですが、過去、知らされていない場合、損害賠償請求や白紙撤回が出来たケースがあります。

>>説明責任と瑕疵担保責任の違いや責任の所在に関して、まとめたページはこちらにまとめました。

6.事故物件にまつわる落とし穴

最後に、他の管理会社とオーナーから聞いた、一般の人が事故物件にまつわる見落としがちな点について解説します。

6-1.周辺の部屋での事故・事件について

住む部屋だけでなく、周辺の部屋での事件や事故についても気になる人もいるかと思います。実際に最近、自分が住む予定の部屋だけでなく、「他の部屋で何か事故や心理的瑕疵に繋がるものがありましたら、お聞きしたいです」と連絡が来たことがありました。

下記の方法で調べた結果、この物件では特に事故物件と言えるような事故・事件は起こっていませんでした。家賃相場との比較でも大きな乖離はなく、適正価格の物件と言えました。

  • 港区の警察へのヒアリング
  • 最寄りの不動産会社への連絡
  • 『大島てる』

『大島てる』など自分で調べられるものは試した上で、情報が得られない場合は、管理会社を通して上記を調べてもらうのもありだと思います。

6-2.AD100、短期解約の違約金に注意

上記の事例では、事故物件の面では問題がなさそうでしたが、僕が気になったのはむしろ「AD100」の記載でした。「AD」とは「advertising」つまり、広告料(紹介料)のことを指します。ざっくり言うと

「この部屋の賃貸契約決めてくれたら、オーナーもしくは不動産管理会社が、不動産仲介会社に家賃1ヶ月分(100%)の広告料を支払いますよ」

という意味です。本来仲介会社の利益は「仲介手数料」で確保できるのですが、それに広告料が上乗せされるということになります。支払うのはオーナーや不動産管理会社なので、一見、借り手には関係ないように思われます。

しかし、広告料を確保するために「保証料」や「礼金」など別のところで余計なコストが上乗せされていたり、短期解約による違約金が設定されていたりすることがあります。

例えば、一年や二年以内の解約の場合、発生するケースなど。もちろん、無い場合もあります。ですので、「AD●●●」のような記載があったら十分に注意し、違約金などがないか、あるのであればどのような条件なのかを、仲介会社にしっかり確認するようにしてください。

6-3.事故物件だけなく、快適な住環境のために確認したいこと

さらに、このような質問メールをもらいました。

「スクショやAD100について、指摘していただきありがとうございます。向かいと隣に事故があったらしいとのことですが、気にするのは馬鹿馬鹿しいでしょうか?」

事故物件を気にする、気にしないは個人の価値観なので、ばかばかしいとは思いません。むしろ、自身の住環境(住環境にこだわることは、広義では自分の成長や人生の充実に繋がると考えています)を真剣に考えている証であり、僕は素晴らしいと思っています。

ただ、不動産管理を長年してきた経験を踏まえて、僕としては次のように回答しました。「付近での事故について、霊感の強い人や気にされる方は避けているみたいです。私はあまり気にしていません。現地を見て、匂いや日当たり、風通し、室内の雰囲気が良ければお勧めしています。」

さらに、ここから重要です。

「逆に、日当たりや風通し、騒音等の基本的な住環境が悪いなら、止めた方がいいと思います。住環境が悪いと異常者が出易いので。警視庁や不審者マップを見て、問題なければ大丈夫だと思います。多分、この辺りならそれほど問題はないと思います。」

事故物件を避けることにとらわれるあまり、その他のストレス要因(日当たり、騒音、変質者、トラブルメーカー)のチェックを忘れないでほしいです。

>>この辺り、現地で使える不快な事故物件の見分け方について、【一級建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法をレクチャーしてもらいました。気になる方は内覧前に確認してみて下さい。

7.「事故物件」、「告知事項あり物件」についてのまとめ

今回は、失敗談や実際にあった質問を基に「事故物件」や「告知事項あり物件」に関連する、この記事の重要事項をまとめました。

正直、気になり始めると際限がありません。しかし、内見や契約前に出来る限り調べておいた方が気持ちよく引っ越す事が出来ると思います。以下、今回のまとめになります。参考になれば、幸いです。

  • 『大島てる』は無料で手軽にできる情報収集として参考になるが、誰でも書き込める(嘘や噂、間違いの情報もある)ことを認識しておく。
  • 「事故物件」はチラシやサイトで「告知事項あり物件」で検索することができる。
  • 「告知事項あり物件」は心理的な瑕疵だけでなく、建物の物理的な欠陥も含められる。
  • 「心理的瑕疵物件」「特別募集住宅」は建物内で人が亡くなったことを示唆している。
  • 「告知事項あり」の記載の法的な取り決めがないため、不動産会社によってバラバラの実態がある。
  • 不動産の紹介だけをしている仲介会社は事故物件の情報に乏しく、詳しく聞きたいなら管理をしている不動産管理会社にも確認した方が良い。
  • 事故物件を避けることも重要だが、日当たり、風通し、騒音、変質者、トラブルメーカーなど住環境のチェックも必ずする。

先日、馬場と一緒に事故物件経験者の方にヒアリングを行った内容をこちらのページにまとめています。判断基準が本当にあいまいなケースもあり、住んだ後に分かることもあるので、霊感に強い方など、事前に確認して申し込みを入れるようにしてください。

もし、内覧時におかしいなと思ったら・・・、現地で使える不快な事故物件の見分け方について、【一級建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法をレクチャーしてもらいました。最後に、国土交通省が事故物件の告知義務について、やっとガイドラインを出したので私たちなりの理解を含め、その内容をこちらのページにまとめておきました。よっぽどのことが無いと、契約後のキャンセルは出来ない部屋探しの経験が少ない人など、慎重に進めて下さい。

また、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。

私たちは、2012年より地域に根付いた不動産屋として、住まいのトラブルに特化し、住宅ローンの返済だけでなく、騒音や隣人、契約トラブル等のトラブルを解決してきました。現在、無料相談を実施しており、住まいの問題解決事例をまとめた冊子も無料で差し上げております。あなたの問題を早期に解決し、明るい毎日を取り戻して下さい。

ともかく、ぜひ一人で悩まず、早めにご相談ください。

これまで、8年間300件近い住まいのトラブルの相談を受けた中でもさまざまなケースがありました。ここに記載出来ない内容で困っている方もいると思います。もし、あなたが現在トラブルに悩まされているのであれば、トラブルが大きくなる前にお近くの専門家に相談することをお勧めいたします。信頼できる先がすぐに見つからない場合、弊社の無料相談にご連絡ください。これまで多くの住まいの問題を解決した経験や知識を活かし、あなたの力になれると思います。ぜひ気軽に無料相談までご連絡ください。

私たちは今後もあなたの大切な人生と平穏が守られますよう、4,600件を超える引っ越しの失敗談を基に住まいの問題解決のトップランナーとして、専門家と協力し、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法をレクチャーしてもらいました。最近流行っているカスタマイズ賃貸についても、こちらにまとめました。不動産トラブル専門の弁護士による、契約直後の事故物件発覚時の告知義務違反等の対応についてはこちらのページにまとめました。稀に相談される事故物件の夜について、麻布十番エリアにあるものを実際に見に行ってきました。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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馬場 紘司

この記事を書いた人

馬場 紘司

事例を基に後悔のない取引を目指し、2013年以降40件以上の不動産取引を経験。現在は投資や居住用の不動産を中心に売却価格を上げるリノベーションなど建物の改修に注力。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー2級、住宅ローンアドバイザー。>>その他詳しい実績はこちら

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